トップページ > 大学の技術・ノウハウ > 潤滑油を必要とせず粉塵の出ない安価な磁気式送りねじ機構

大学の技術・ノウハウ

潤滑油を必要とせず粉塵の出ない安価な磁気式送りねじ機構

資料

潤滑油を必要とせず粉塵の出ない安価な磁気式送りねじ機構

組織名 電気通信大学 情報理工学研究科 仲田佳弘准教授
技術分野 ものづくり
概要

モータによる回転運動を直線運動に変換する伝達機構である送りねじは、幅広く産業分野で使われています。しかしながら、ねじが接触することで力を伝達するので、振動や騒音による高速化の限界があり、発熱や粉塵なども問題となります。研究者らが開発した本磁気式送りねじ機構は、非接触式であるため発熱や粉塵の問題を解消し、且つ磁気ばねに見られる弾性特性を得ることができ、また、螺旋型の磁石を用いない構造により加工コストを低減するとともに、小型化も可能です。本技術にご興味をお持ちの企業様を歓迎いたします。

お問い合わせ

この技術・ノウハウに関するお問い合わせ

詳細

【簡略図】

【背景】
 送りねじは、モータによる回転運動を直線運動に変換する機構であり、加工機械や産業用ロボットなどに広く活用されています。しかし、食品や化粧品材料の製造現場では、ねじの摩擦による摺動面の粉塵や、潤滑油の使用は好まれないため、従来の送りねじは採用しにくいとされています。
 また、送りねじが使われている産業用機械は、人間の行動範囲とロボットの可動域を明確に区別することで安全性を保証していますが、昨今では介護や施設内の案内を行う生活支援や、生産現場での人との協調作業など、人の身近で作業するロボットが増えています。このようなロボットの駆動機構には、人にぶつかった時など外力に対して柔軟に応答することが必要とされています。  
 研究者らは、これらの送りねじの課題を解決する、新しい機構の磁気式送りねじを開発しました。

【技術内容】
■磁気ねじの特徴
 磁気ねじは、力の伝達を非接触で行うため、摺動面の摩擦による粉塵や、潤滑油が必要であるといった、従来の送りねじの課題を解決することができ、また、磁気の特性により、外力に対して、バネのような柔軟性があるのも特徴のひとつです。

 しかし、従来の磁気ねじは、らせん構造をした磁石を用いており、製造が難しく量産性に問題がありました。

■本磁気式送りねじの基本構造
 本本磁気式送りねじは、らせん構造をした磁石は使わず、ねじ部は一般的な機械ねじを使用しています。また、ナット部分に既存の回転モータ等で広く使用されている円弧磁石を使用し、磁極とバックヨークを一体化することで、部品点数を削減しやすい構造を提案しました。
 これにより、従来の磁気ねじの課題であった生産性を改善し、量産しやすい低コストな磁気式送りねじが可能となります。

円弧状磁石の使用,部品点数の削減

■本磁気式送りねじの動作原理
 磁石の磁力でナットとねじが引き合い,その力を使って動力を伝達する仕組みです。軸の回転によって位相が変化し、その位相差によって生じる力でナットが駆動します。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
 送りねじ機構は、すべりねじ、ボールねじ、静圧空気ねじ、磁気ねじが知られいます。すべりねじは力を接触面で伝達し、ボールねじは力を接触点で伝え、静圧空気ねじは流体が介在し、磁気ねじは非接触で力を伝達します。
 送りねじ部分のみで比較すると、すべりねじ、ボールねじ、静圧空気ねじ、磁気ねじの順で、騒音・摩擦が小さく,駆動効率が高くなることが一般に知られており、磁気ねじは、非接触で、摩擦力が小さく、また高効率です。しかし、従来の磁気ねじは、ねじ同様のらせん構造をした磁石を用いており、磁石の加工が困難で、結果、高価なものになっていました。
 本技術は、この問題を解決し、難しい磁石の加工が必要ない、部品点数の少ない、低コストな磁気送りねじを実現しています。

【連携企業のイメージ】
・食品加工機械メーカー
・生活支援ロボットメーカー
・産業用ロボットメーカー
・ロボット部品メーカー

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
 本磁気式送りねじは、摺動に伴う粉塵の発生を抑制でき、また潤滑油を使用せずに動作できるため、異物混入が問題となる食品や医薬品の搬送に利用できます。
 また、通常の送りねじでは難しい、洗浄・滅菌も可能です。さらに、機械的な噛み合わせで駆動しないので、衝突時の外力に対して柔軟な動きを要求される動力伝達機構としても有効に利用できます。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術にご興味があればお気軽にお問合せください。
詳しい研究紹介を含め、連携に向けご面談等のアレンジが可能です。

【専門用語の解説】
・送りねじ
 工作機械などに用いられ、モータの回転運動を直線運動に変換する機構です。部品の位置を移動させるのに用いられます。従来の送りねじは、高い位置決め精度や高速運動が特徴です。
・すべりねじ
 送りねじの一種で、ねじ軸とナット部の組み合わせで構成されており、ナット部には摺動特性が良好な材料が使用されます。ボールを使わないので単純な機構となっており、比較的安価です。
・ボールねじ
 送りねじの一種で、ナットにボールが内蔵されており、ねじ山の谷の部分をボールが転がりながらナットが移動するねじ軸です。摩擦が少ないのが特徴です。
・静圧空気ねじ
 送りねじの一種で、静圧潤滑の原理をねじに応用した直進送り機構です。ねじ面どうしが接触せずに運動します。加圧空気で潤滑します。

この技術・ノウハウに関するお問い合わせ

メールフォームのご利用は、以下の項目にご記入のうえ「送信する」ボタンを押してください。
担当者より折り返しご連絡いたします。
個人情報の取り扱いについては、こちらをご覧ください。


    お名前(漢字表記) 姓 名 
    お名前(ふりがな) 姓 名 
    学校・会社・団体名 (例)株式会社キャンパスクリエイト
    部署名 (例)営業部
    郵便番号
    都道府県
    市区町村番地 (例)調布市調布ヶ丘1-5-1
    建物名 (例)調布ビルディング1階
    お電話番号 (例)042-490-5728
    メールアドレス (例)sample@campuscreate.com
    お問い合わせ内容

    技術・ノウハウを検索する

    掲載記事のお問い合わせ、技術相談など、お気軽にご相談ください。

    メールでのお問い合わせ

    株式会社キャンパスクリエイト
    調布オフィス 担当:須藤 慎

    〒182-8585
    東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
    国立大学法人 電気通信大学
    産学官連携センター内[地図