トップページ > 大学の技術・ノウハウ > 振動を十分に抑制し、高い安全性で高速に移動可能なワイヤ懸垂による搬送システム
資料 | |
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組織名 | 中央大学 理工学部 大隅 久 教授 |
技術分野 | IT , ものづくり |
概要 |
天井に設置するワイヤ懸垂装置は、単純な機構で重量物の搬送が可能であり、作業域も大きいため工場などで広く用いられています。しかし、振り子運動による振動等のために安全性を保ちつつ作業効率を高めることは困難でした。そこで、6本のワイヤと独自の制御機構により、振動を十分に抑制しつつ高い安全性で高速に移動可能なワイヤ懸垂システムを研究しています。レーザポインタ等を用いて目標地点へ容易に移動制御できるインタフェースも開発しています。工場や福祉現場での搬送システムとして適用可能です。本技術の活用に意欲がある企業を歓迎します。 |
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【簡略図】
【背景】
天井に設置する走行型クレーンや旋回クレーンのようなワイヤ懸垂装置は単純な機構で重量物の搬送が可能であり、また作業域も大きいことから、工場、建設現場、湊湾などで広く用いられています。しかし、このようなワイヤ懸垂装置ではワイヤの低い剛性のために吊に荷が揺れやすいという欠点があります。また、そのため運動速度を低く抑える必要があり、作業効率を高めることを困難にしています。
大隅研究室では、6本のワイヤと独自の制御機構により、振動を十分に抑制しつつ高速に移動可能なワイヤ懸垂システムを研究しています。レーザポインタ等を用いて目標地点へ容易に移動制御できるインタフェースも開発しています。
工場や福祉現場での搬送システムとして適用可能です。本技術の活用に意欲がある企業を歓迎します。
【技術内容】
マニピュレータやクレーンをはじめとするワイヤ懸垂系の搬送技術です。
(マニピュレータの応用)
1つのマニピュレータを複数のワイヤで吊り下げるシステムです。
マニピュレータで物体を掴んで搬送することが可能です。
装置構成は、角材で構成された正方形のベースの4 辺に、それぞれモータとボールねじで駆動されるカウンタウェイト(移動する重り)が取り付けられています。これにより、懸垂部全体の重心位置を変化させたり、カウンタウェイトの慣性力を利用することで張力が制御できます。ベースの懸垂には6 本のワイヤが用いられ、それぞれロードセルを利用した張力センサが取り付けられています。このベースから下方にマニピュレータが懸垂されています。
装置の写真は以下の通りです。
(クレーンの利用)
重量物をクレーン形式で搬送する用途です。
この制御系の特徴は、「微動系」「粗動系」の二段サーボ機構で成り立つことです。
微動系はワイヤ振れ角センサからのフィードバック指令を元に外乱(高周波成分も含む)に起因した振り子運動の抑制を行います。
粗動系はオペレータからの動作指令を元に懸垂物の搬送を行います。そのための制御機構を長年研究し、高精度で安全な制御システムを実現しています。
また、微動系にはワイヤの巻き取り機構が設置されており、これにより巻き取り動作を障害物回避に利用することができます。これら5つのアクチュエータにはDCサーボモータが利用され、それぞれ速度制御されます。各モータにはエンコーダが内蔵されており、クレーンの位置や懸垂物の高さを高精度に検出します。
クレーンには下向きのカメラも取り付けられており、懸垂物とその周辺の映像を真上から取得できます。懸垂物の近くにいるオペレータが照射したレーザーポインタの照射点を計測することで、照射点に向けてクレーンが移動するよう制御することができます。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
本技術の特徴は以下の通りです。
・ワイヤ懸垂系を利用することにより、重量物の3次元搬送が可能です。土台に固定した産業用ロボットと比べ、可動範囲が非常に広く、本体重量に比べて可搬重量も大きいメリットがあります。
・高精度の制御系により、懸垂物の振り子運動が抑制され、安全性が高まります。
・レーザポインタを用いてオペレータがクレーンの移動を制御することも可能です。障害物回避や経路の自動生成・変更・目標地点(レーザポインタの照射点)での行き過ぎ防止などのアルゴリズムも組込まれています。
・マニピュレータへの応用について、従来技術では振動の抑制をリアルタイムに行うために冗長性の高いマニピュレータを用いますが、高コスト化に繋がります。
本技術では、安価なマニピュレータで対応可能です。
【連携企業のイメージ】
例えば下記の企業と連携可能です。
1)搬送システムを開発・販売している企業
2)クレーンシステムを開発・販売している企業
3)天井走行式無人搬送車を開発・販売している企業
4)天井走行リフトを開発・販売している企業
5)マニピュレータを開発・販売している企業。
6)産業用ロボットを開発している企業。
7)他、本技術の製品化・活用に意欲がある企業。
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
工場等で重量物を搬送する用途に適用可能です。
広い範囲での搬送を素早く行う用途に適しています。
狭い範囲を繰り返し往復する用途にも簡易構成で対応可能です。
マニピュレータを用いて物品を掴んで、移動して、離すなどの搬送が可能です。
また、介護用途では、天井走行リフトなどへの応用可能性があります。
レーザーポインタを用いて目標地点へストレスなく移動することが期待できます。
【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
デモを交えてご紹介させていただきます。
【専門用語の解説】
(天井クレーン)
天井クレーンは、建屋の両側の壁に沿って設けられたランウェイ(走行軌道) を走行するもので、天井近くで稼働するため天井クレーンと呼ばれています。 一般に巻上げ、横行、走行の3動作が可能で、広範囲の作業領域を確保できるため、 機械工場での重量物や部品の運搬等に使用されています。
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