トップページ > 大学の技術・ノウハウ > 自己修復機能を材料に付与するマイクロカプセル化技術

大学の技術・ノウハウ

自己修復機能を材料に付与するマイクロカプセル化技術

資料

自己修復機能を材料に付与するマイクロカプセル化技術

組織名 鹿児島大学 工学部 先進工学科 吉田昌弘 教授
技術分野 ものづくり , 環境/有機化学/無機化学
概要

高分子材料は、継続的・熱的な負荷によって内部にマイクロクラックが生じやすく、その成長によって全体の破壊や被覆下地の腐食につながるという難点があります。本技術は、高分子材料の必要特性を阻害せず、長期間にわたって安定的に高い自己修復率が得られる、修復材を高含有化するコアシェル構造型のマイクロカプセルを開発し、熱による変質が起こりにくい金属触媒と組み合わせる事により、自己修復性機能を高分子材料に付与する事で、材料の寿命を延ばすことが可能にします。

お問い合わせ

この技術・ノウハウに関するお問い合わせ

詳細

【簡略図】

【背景】

高分子材料は、加工や成形性が良く、軽量で、耐腐食性や薬品等への抵抗性などの化学的特性に優れているといった特徴があり、日用品から建築材料、航空宇宙産業など多岐に渡って使用されています。しかし、金属に比べ耐候性や耐衝撃性に劣り、継続的・熱的な負荷を受け続けることによって、材料中にマイクロクラック(マイクロサイズの亀裂)が生じます。生じたマイクロクラックに応力が集中することで、亀裂が大きく成長し、材料の強度の低下、最終的に材料そのものの破壊につながってしまいます。また、マイクロクラックは構造の奥深くで発生することが多いため、発見や補修が困難であり、修復には技術や時間、コストがかかってしまうという問題点があります。

この技術では、生態系の持つ自然治癒力のような自己修復機能を高分子材料に付与し亀裂を修復することで、材料の致命的な破壊への進展を防止することがで、材料の寿命を延ばすことが可能になります。

【技術内容】

自己修復機能を材料に付与する方法の一つとして、修復剤を内包したマイクロカプセル(MC)を利用する方法があります。高分子材料に修復剤内包MCと触媒を分散させた材料にクラックが発生し、成長したクラックが駆動力となって材料中のMCが割れ、MCの中から修復剤が放出されます。放出された修復剤は毛細管現象によりクラック面を流れ、クラックの表面に露出した触媒と反応し、硬化反応を起こし、亀裂を塞ぎ固め、修復させます。

本研究では、既往の研究における課題であった長期安定性の向上を目指し、適した金属触媒の探索と、特定した金属触媒を使用して既往の研究と同程度の自己修復率を達成しました。

🔳金属触媒の探索

修復剤であるトリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TRIM)を硬化させる金属触媒を探索するため、臭化物でのTRIMの硬化試験を行ったところ、臭化銅と臭化コバルトは重合用触媒として充分な適正を備えることを確認しました。

🔳自己修復機能MCの調整

添加するメラミンのモル量を増加させることで膜厚を向上させるようなMC調製を行い、内包物をより多く含有できる条件を検討しました。結果、メラミン量が0.036mol以上で調製したMCは、70%程度の含有率を得ることが出来ました。

🔳MCを添加した高分子材料の自己修復能力の評価

次に実際に調製したMCをエポキシ基盤樹脂に添加して自己修復材料を作製し、その自己修復能力を、テーパー型二重カンチレバービーム破壊試験(TDCB破壊試験)を用いて評価しました。TDCB破壊試験は、材料の靭性を求めるために使用される二重引張り試験を小型化したもので、真っ直ぐで一定長さの亀裂が入るように工夫してあります。

修復温度を45℃と60℃と設定し、MCの添加量を変化させ、試験を行いました。試験の結果、触媒として臭化コバルトを使用し、60℃で修復させることでMCの添加量に関わらず安定して約70%の自己修復率を得ることができました。また既往の研究と比較しても同程度の自己修復率を達成することが出来ました。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】

・自己修復性材料に用いる高品位の修復剤内包マイクロカプセルを効率よく、確実に製造することに成功しました。
・臭化コバルト及び臭化銅は分解温度が高いため、触媒成分として活用することで、長期間にわたって優れた自己修復性を確実に発揮することができます。
・マイクロカプセルはメラミン量とメチロール化割合を調整することで、「膜厚」「膜の緻密さ」のコントロールが可能です。

【連携企業のイメージ】

・樹脂素材、触媒を開発、製造している企業
・建築材料を開発、製造している企業
・自動車産業、航空宇宙産業を行っている企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】

より長期的に安定性が求められる高分子素材への応用が可能です。
・繊維強化プラスチック(FRP)
・屋根や外壁などの建築材料
・塗料やシーリング

【技術・ノウハウの活用の流れ】

本研究にご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。連携に向け、ご面談等のアレンジが可能です。

【専門用語の解説】

・マイクロクラック:従来の外観検査では発見しにくい超微細な亀裂
・マイクロカプセル(MC):微小な粒子または液滴をコーティングすることで、様々な機能を持つ微小なカプセル

この技術・ノウハウに関するお問い合わせ

メールフォームのご利用は、以下の項目にご記入のうえ「送信する」ボタンを押してください。
担当者より折り返しご連絡いたします。
個人情報の取り扱いについては、こちらをご覧ください。


    お名前(漢字表記) 姓 名 
    お名前(ふりがな) 姓 名 
    学校・会社・団体名 (例)株式会社キャンパスクリエイト
    部署名 (例)営業部
    郵便番号
    都道府県
    市区町村番地 (例)調布市調布ヶ丘1-5-1
    建物名 (例)調布ビルディング1階
    お電話番号 (例)042-490-5728
    メールアドレス (例)sample@campuscreate.com
    お問い合わせ内容

    技術・ノウハウを検索する

    掲載記事のお問い合わせ、技術相談など、お気軽にご相談ください。

    メールでのお問い合わせ

    株式会社キャンパスクリエイト
    調布オフィス 担当:須藤 慎

    〒182-8585
    東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
    国立大学法人 電気通信大学
    産学官連携センター内[地図