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白血病抑制活性を示す創薬シーズ化合物群の開発

資料

白血病抑制活性を示す創薬シーズ化合物群の開発

組織名 国立大学法人 電気通信大学 基盤理工学専攻 脳科学ライフサポート研究センター 牧 昌次郎 教授
技術分野 医工連携/ライフサイエンス
概要

急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)は難治性希少白血病であり、分子標的薬がいまだに存在しないため、特効薬開発が急務となっている疾病です。当研究室ではT-ALLに抑制活性を示す天然化合物をもとに、構造を簡素化した低分子化合物を有機合成することにより天然化合物と同等以上にT-ALL抑制活性を示すシード化合物を多数保有しております。T-ALLに限らず、他の白血病に活性を示す化合物も幅広く保有しておりますので、これらの材料の創薬開発やさらなる用途探求に意欲的な企業/研究所を歓迎します。

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急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)は難治性の希少白血病です。T-ALLには分子標的薬が存在しないため他の白血病の薬を用いての治療が主であり、完治が困難で治療後の再発率も高い疾病であります。また、小児の発症が多く、再発後の予後が悪いことも問題となっておりT-ALLを特異的に抑制可能な特効薬の開発が急務となっております。しかしながら、T-ALLの詳細な発病機序は解明されていないため、特効薬の開発は困難な状況となっております。

そんな中、東京都医学総合研究所(都医学研)を中心とした研究グループでは、天然化合物15万種類を用いたハイスループットスクリーニングにより、T-ALL細胞を特異的に抑制する3種の化合物を発見いたしました。しかしながら、これらの化合物は直接薬剤として用いるためには最適でありませんでした。そこで、都医学研の原グループと当研究グループでT-ALL細胞に増殖抑制活性を示す低分子化合物の開発研究を始めました。この研究により数年間で70種を超える低分子化合物の合成を行い、天然化合物と同等以上のT-ALL細胞抑制活性を示し、天然化合物より遥かに簡素な構造を持つ化合物の合成を達成しております。

T-ALL及びその他白血病細胞に増殖抑制活性を示す低分子化合物ライブラリの提供、また類似化合物の合成を行うことが可能です。

T-ALL細胞に抑制活性を示す低分子化合物を創製するために、活性を示した天然物化合物の構造を参考に、多数の低分子化合物を合成し、T-ALL及びその他白血病細胞に対する細胞抑制活性に対する構造活性相関を取得いたしました。

構造活性相関を取得するために、
・天然物より簡素な構造であること
・天然物より高い活性を持つこと
・天然物より白血病細胞に対する特異性が高いこと
これら3つを目標として合成を行いました。

天然化合物の複雑な構造を、活性を下げることなく簡素化するために、部位ごとに分けて構造改変を行うことで可変部位を特定し、置換基による効果を明らかにいたしました。その結果、70種の化合物ライブラリを構築し、T-ALL及び他の白血病への抑制活性に関する構造活性相関を得ることに成功いたしました。

この情報をもとに高活性化合物であるRa#61の創製を達成し、構造を大幅に簡素化した上で、天然化合物よりもIC50を1桁以上向上し、また、特異性の向上にも成功しております。

今現在もこの化合ライブラリをより良いものとするため日々更新しております。
当研究室の有機合成技術を用いて任意の化合物を合成することも可能です。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
T-ALLは近年多くの研究者によって研究が進められているものの、その詳細な発病機序は解明されておりません。そのためにT-ALLの分子標的薬の開発も思うようには進められておりません。しかし、その中でも有機合成を軸にT-ALL細胞に抑制活性を示す多くの化合物を保有していることが当研究グループの強みであります。
また、化合物ライブラリをもとに最適化された化合物の合成も可能ですので、常に更新し続ける化合物ライブラリの提供が可能です。

【連携企業のイメージ】
我々がいくら充実した化合物ライブラリを保有しようとも、実際にT-ALL治療薬の開発を行うことはできません。そのために、これらのライブラリを用いて実際に医薬品開発プロセスまで発展させることのできる製薬企業との連携をイメージしております。
また、これらの化合物はT-ALLに限らず、他の白血病等にも増殖抑制活性を示しているため、この化合物ライブラリを用いて新たな用途探索研究を行っていただける共同研究先も求めております。

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
本ライブラリには、T-ALL及びその他白血病細胞に対する増殖抑制活性の構造活性相関情報が含まれております。T-ALL特効薬の創薬シーズとしての利用はもちろん、その他疾病の創薬シーズとしても用いることが可能です。また、新規化合物の合成は常に続けておりますので、共同研究を行うことでご要望に沿った化合物の合成も可能です。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
お問合せ後、技術面談にて詳しい技術内容をご説明させていただきます。また、白血病薬に限らず、化合物合成による新規技術開発相談にも対応可能です。

【専門用語の解説】
・IC50:半数阻害濃度。標的の細胞の半数を阻害するために必要な化合物(薬剤)の濃度。数値が小さいほど低濃度で細胞を抑制可能であり、薬剤としての活性が高いことが言える。また、他の細胞に対してのIC50値が高いほうが標的細胞のみに活性を示すため、特異性が高いことが言える。
・ハイスループットスクリーニング(HTS):短時間に多数の化合物を生化学的に評価し、特定の活性を持つ化合物を発見するための手法。本研究では15万にも及ぶ天然化合物の巨大な化合物ライブラリからT-ALLに活性を示す化合物を探索するために用いた。

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