トップページ > 大学の技術・ノウハウ > 水処理に関わるミクロスケール熱流動現象の解明
資料 | |
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組織名 | 琉球大学 工学部 永島 浩樹 助教 |
技術分野 | 環境/有機化学/無機化学 |
概要 |
本研究室では、水処理に関わるミクロスケールの熱流動現象を研究しています。例えば、海水淡水化に使用される逆浸透膜内の水の流れや、水中のナノスケールの気泡の制御方法などについて研究を行っています。逆浸透法は、現在最も海水淡水化に使用されている方法ですが、水道水と比較すると生成コストは2倍以上となっており、さらなるコストの低減が求められています。逆浸透法で一番コストがかかるのが、海水にかける機械的圧力です。そこで本研究では、グラフェン(簡略図参照)を浸透膜に用いた逆浸透法に着目しています。グラフェンは厚さが炭素原子一個分と薄く、さらに機械的強度も強いという特徴をもっています。そのため,海水にかかる高い圧力にも耐えることができ、さらに従来の膜より薄いため、より効率的に淡水化を行えると考えられています。ナノスケールの気泡は、通称ナノバブルと呼ばれており、その用途は水質浄化・改善、消臭効果、菌・ウイルスの死滅効果など幅広いです。さらにナノバブルを固体表面に付着させる(簡略図参照)ことで、流体摩擦の低減を図ることができます。摩擦の影響はナノスケールになるほど大きくなるため、ナノバブルをナノテクノロジーに応用することで、さらなるナノテクノロジーの進展が考えられます。 |
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詳細 |
【簡略図】
【背景】
沖縄県は、大都市圏を除いた都道府県の中で断続的に人口が伸びている唯一の都道府県であり、さらに近年の観光客の増加に伴いリゾートホテルの建設が相次いでおり、水の需要は年々高まっています。この様な状況を受けて、淡水の安定的な供給は重要な課題となっており、海水の淡水化などの水処理技術は今後重要になると考え研究を始めるに至りました。
【技術内容】
研究では、主に分子動力学法という手法用いてシミュレーションを行っています。このシミュレーション手法は、分子ひとつひとつの動きを追跡できるため、ミクロスケールの流れやエネルギーの移動を解析することができ、ボトムアップ的に材料やシステムの開発を行うことができます。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
・グラフェンの厚さは原子ひとつ分であり、さらに、物理的に強い素材になっているため、従来の半透膜と比較するとより効率よく淡水化を行うことができます。
・固体表面にナノバブルを付着させることで流体摩擦の低減を図ることができ、さらに摩擦の影響はナノスケールになるほど大きくなるため、ナノバブルをナノテクノロジーに応用することで、ナノデバイスの応用範囲を広げることができます。
【連携企業のイメージ】
・海水淡水化技術を扱っている企業
・新しい膜や材料の開発を検討している企業
・ナノデバイスを扱っている企業
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
・逆浸透法による海水淡水化
・ナノデバイス中の摩擦低減
【技術・ノウハウの活用の流れ】
本研究にご興味があればお気軽にお問合せください。
本技術の活用の流れは下記の通りです。
①半透膜中の水の流れやナノバブルの制御方法を分子シミュレーションにより解明
②解明した知見により、効率のよい膜や表面構造の設計指針を示す
③示された設計指針に基づいて膜の開発や表面構造を加工します
【専門用語の解説】
(海水淡水化)
海水から淡水を得る技術
(逆浸透法)
海水に圧力をかけて海水から塩分を取り除き真水のみを取り出す海水淡水化の方法
(流体摩擦の低減)
例えば空気の粘度は水よりの約100分の1であるため、固体表面に気泡を付着させることで固体と流体間の摩擦を低減させることができます。
(分子動力学法)
分子ひとつひとつの運動方程式を数値的に解くことで、分子の動きを再現するシミュレーション手法
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