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大学の技術・ノウハウ

生鮮食品の鮮度を長持ちさせるオゾン氷連続製氷システム

資料

生鮮食品の鮮度を長持ちさせるオゾン氷連続製氷システム

組織名 中央大学 理工学部 松本 浩二 教授
技術分野 ものづくり
概要

オゾンは殺菌・脱臭作用がありますが、空気中・水中では寿命が非常に短く効果が持続しません。そこでオゾンガスをマイクロバブル(MB)化し、高濃度で氷の中に閉じ込めるオゾン氷製造技術を研究開発しています。MB化したオゾンガスは氷中で長期間残存するため、通常の氷利用コンテナと比較し目安として少なくとも3日程度、生鮮食品の鮮度を長持ちさせることが期待できます。専用の製造装置も小型・安価で連続的に製氷と生成された氷回収が同時にできます。例えば魚などの海上輸送・列車輸送の用途に適用可能です。本技術の活用・製品化に意欲がある企業を歓迎します。

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【簡略図】
20150115080726.png【背景】
 生鮮水産物を世界中に販売するためには、輸送技術と鮮度保持技術の高度化が必要です。鮮度保持を図るキーワードとして、強力な殺菌作用・消臭機能が挙げられます。
オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化機能があることから注目を浴びていますが、空気中・水中では直ぐに分解してしまう弱点があります。
 そこで、オゾンガスをマイクロバブル化し、氷中に閉じ込めることにより、オゾンの効果を長期間発現させるオゾン氷の製造技術を研究しています。実用に向け、連続的にオゾン氷を製氷・回収できる装置開発も行っています。
 本技術を用いて生鮮水産物を遠方へ輸送したい、あるいは鮮度保持システムとして製品化したい、などのニーズをお持ちの企業を歓迎します。
20150115080801.png【技術内容】
装置の外観図は以下のとおりです。
1)金属ベルトの裏面にある銅製冷却ブロックの上でオゾン氷を製氷します。
2)水面維持装置、循環型低温恒温槽と、チューブを通して供給するオゾンガスマイクロバブルが注入された水を組合せて、オゾン氷を連続的に製氷しています。
3)金属ベルトは一定の傾斜角度のもと、ローラーとモーターによって移動します。オゾン氷は金属ベルト上を徐々に登っていき、一定の位置に達した時点でオゾン氷が切断され、氷回収容器に落ち、自動回収します。
4)装置内(インキュベーター)は1℃に保たれています。
20150115080828.png 製造するオゾン氷は板状ですが、厚みは調整可能です。
傾斜角度を変化させることで、マイクロバブルの含有量を制御することが可能です。
別装置で30℃の傾斜角でオゾン氷を製造した写真が以下の通りです。
20150115080853.png【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
1)本技術で製氷するオゾン氷は、下記図(a)より、-18℃の状態で界面活性剤添加(●)の方が、無添加(○)よりオゾンMB濃度は高いが、共に3日経過後の濃度も大腸菌やサルモネラ菌の様な主な食中毒原因菌の殺菌に必要なオゾンガス濃度0.5ppmより十分に高い。また,図(b)はオゾンガス濃度の減少率を示すが、界面活性剤添加の有無にかかわらず、通常のオゾンガスより減少率は小さいことが分かる。また、現在7日経過後の測定も行っているが、その場合も残存オゾンMB濃度は0.5ppmより十分に高い。そのため、オゾンが長期にわたり残存し、効果を発揮します。
また、氷中オゾンMB濃度の約60%が融解時に放出されるオゾンガス濃度となることも分かっています。
20150115080935.png2)従来のオゾン氷製氷システムとして水に圧力を与え、オゾンの水に対する溶解度を上げたのち製氷する方法があります。しかし、この方法では圧力容器が必要となり、大型化・コスト増となってしまいます。
本装置は圧力容器が必要ないため小型かつ安価です。
20150115081016.png
3)本装置の大きな特徴は「製氷」と「氷の回収」を一台で同時に行うことが可能なことです。また、ベルト速度を変えることで、氷厚さを自由に変えることができます。
□製氷では氷層が厚くなるにつれて熱抵抗が大きくなります。
そのため、従来の製氷システムでは氷の成長とともに製氷速度が低下します。
□従来の製氷システムでは、氷と冷却面を離すために熱あるいは外力を加える必要があります。そのため、「製氷」と「回収装置」は別装置となります。
□従来の製氷システムでは氷厚さの制御が難しい問題があります。
20150115080958.png金属ベルトを用いた本装置では、以下の特徴があります。
 □金属ベルトの速度を変化させることにより氷の厚さを一定に制御可能です。
 □ベルト速度を速くすると氷が薄いため氷の熱抵抗は小さくなります。
  同時に、冷却板とベルト間の接触熱抵抗が減少します。
  そのため、製氷速度が速くなり製氷量が増加します。
20150115081106.png即ち、本装置では一定の厚さの板状氷を連続的に生成可能であり、氷と冷却面を離す際、熱や外力を必要としません。エネルギーロスの減少、装置の小型化、氷回収の効率化に繋がります。また、オゾン氷に限らず、従来の製氷システムとの代替としても活用可能性があります。
20150115081130.png3)生鮮食品を冷凍する場合と比べて、オゾン氷では解凍による品質や鮮度の劣化がありません。

【連携企業のイメージ】
例えば下記の企業と連携可能です。
1)海上輸送、列車輸送など生鮮食品の輸送を行っている企業。
2)生花の輸送を行っている企業。
3)鮮度保持用のシステム・装置を開発している企業。
4)殺菌用のシステム・装置を開発している企業。
5)オゾンを利用した新しい事業展開を検討している企業。
6)他、本技術の製品化に意欲がある企業。

また、松本研究室では、他にも界面活性剤を利用した氷の過冷却の能動的制御や、シランカップリング剤から生成された数百nm程度の薄膜による付着力の能動的制御、マクロからナノスケールレベルの氷の付着力の測定、霜発生初期段階での霜結晶の形状・分布・かき取り力の測定、機能性氷スラリーの生成など、氷に関して幅広い研究を行っています。
氷に関わる様々なご相談に対応可能です。

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
 魚などの生鮮食品を国内外に輸送する主な手段として海上輸送・列車輸送があり、鮮度保持のため通常は氷利用コンテナが用いられます。
 本技術の高濃度オゾン氷を用いることにより、氷利用コンテナと比べて目安として少なくとも3日間程度、鮮度を長持ちさせることが期待できます。
そのため、より遠方に新鮮な生鮮食品を届ける、あるいは今まで空輸で対応していた輸送品を海上輸送・列車輸送に切り替える、などの応用が考えられます。
 オゾンは残留性がないため、殺菌後の食品は処理無しで食べることが可能です。
 生鮮食品以外でも生花の輸送にも活用可能です。
 残留性が高い次亜塩素酸ナトリウム等を使用しないで殺菌できるため、それらの廃棄による環境汚染もありません。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
装置のデモや、実験データなどご紹介させていただきます。
氷に関する技術相談にも幅広く対応可能です。

【専門用語の解説】
(オゾン)
オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌・ウイルスの不活化・脱臭・脱色・有機物の除去などに用いられます。日本およびアメリカ合衆国では食品添加物として認可されています。
その有用な効果を利用して、オゾンガスをミキシングまたはバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませたり、電気分解により水に含まれる酸素を利用して作る「オゾン水」が厨房の殺菌用途などで活用される例が増えています。
ただし、水中ではオゾンがより不安定なため、数十秒程度で完全に分解し、効果を長持ちさせることはできません。
(マイクロバブル)
平均径が数十マイクロ程度の微細な気泡で、通常の気泡(ミリバブル)とは異なった性質が表れます。

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