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転倒検出可能・非拘束・広範囲計測・低コストでプライバシーを侵害しない見守りセンサ

資料

転倒検出可能・非拘束・広範囲計測・低コストでプライバシーを侵害しない見守りセンサ

組織名 国立大学法人山口大学 大学院理工学研究科  中島 翔太 講師
技術分野 IT , ものづくり , 医工連携/ライフサイエンス
概要

高齢化社会の進展に伴って、見守りシステムのニーズが高まっています。見守りシステムでは特に、高齢者等の転倒を検出し、見守りを行っている人物に無線等で連絡する技術が重要です。本研究では、自然光から得られる一次元の輝度分布のみを用いて、転倒検出が可能・非拘束・広範囲計測・低コストでプライバシーを侵害しない見守りセンサを開発しました。独居家庭・トイレシステム・老人ホーム等で応用可能です。本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎します。

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【簡略図】


高齢社会に伴って見守りシステムの必要性が高まっており、国・自治体等様々な機関が対策に取り組んでいます。特に、人物の転倒状態を検出する技術が重要であり、発作等で突発的に起こる場合には直ぐに対処する必要があります。また、高齢者の場合には骨折に陥ることがあり身動きができない状態となってしまいます。

そのため、転倒検出センサと無線通信機能(見守りを行っている人物への連絡用)を組合せた製品が実用化されています。
トイレや風呂などに監視用のカメラを設置する方法もあるが、プライバシー保護の観点から設置を嫌がられるケースが多く、赤外線を使う方法では転倒を把握することは困難であり、超音波を利用する場合には装置が高額かつ室内工事が必要です。転倒検出用ウェアラブル端末では常に身に着ける必要(拘束性)があります。

本研究では、自然光から得られる一次元の輝度分布のみを用いて、転倒検出が可能・非拘束・広範囲計測・低コストでプライバシーを侵害しない見守りセンサを開発しました。

センサは約12ミリメートル角と小型で、壁や天井に簡単に取り付けられます。

独居家庭・公共トイレ・老人ホーム等で応用可能です。本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎します。

【技術内容】
人物のプライバシーを保護するため、二次元画像データを取得せず、一次元輝度分布を取得して人物の状態検知を行います。
図1に示すように提案する検知センサは、ラインセンサとロッドレンズで構成します。対象物から一次元輝度を取得する仕組みを示したモデルを図1(a)に、側面図を図1(b)に、上面図を図1(c)に示します。
図1(b)に示すように,ロッドレンズを横から見ると平板であり,対象物の点L+~L-までの垂直方向の光は、ロッドレンズを通して図1(b)のラインセンサの点SLに集光されます。一方、図1(c)に示すように、ロッドレンズを上から見ると両凸レンズになります。点C+~C-や点R+~R-についても同様です。
即ち、垂直方向の輝度を加算したものがラインセンサで取得できることになります。
(SL~SR)。
このセンサから得られる一次元輝度分布を用いて、人物の特徴量を得るために背景差分法を用います。具体的には、本センサで得られた人物のいない状態で、一次元輝度分布をあらかじめ人物のいない状態の一次元輝度分布を取得します。
次に、人物が入った状態の一次元輝度分布から、初めに取得した一次元輝度分布を差分し、絶対値をとった一次元輝度分布を取得します。
この取得した一次元輝度分布のピーク位置や重心位置によって人物の状態検知を行います。


作成した検知センサの外観は図2の通りです。

(図2)


センサの構成図は図3の通りです。

(図3)


下記のとおり、人の位置、転倒を検出しています。


【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
プライバシーを保護可能な既存技術として、以下があります。

1)焦電型赤外線センサ
赤外線(熱)を感知します。人物がセンサに近づくと、人体から放射する赤外線を検知し、人物がいると判定します。

2)超音波センサ
超音波センサから超音波を送信し、対象物にあたった反射波を受信するまでの時間から距離を測定します。人物が入った時より距離が短くなると人物がいると判定します。

1)、2)のいずれも人物の有無しか判定できません。

3)複数の焦電センサ
複数の焦電センサを天井に配置して、対象者の移動を検知します。
⇒装置の取り付けに大掛かりな改修が必要であり、設置コストが大きい難点があります。

4)電磁波タグ
対象者の体表面に電磁波を発するタグを取り付け、タグリーダーとのセットで移動状態を感知します。
⇒タグを取り付ける煩わしさや、ペースメーカーへの悪影響があります。

5)携帯端末
対象者が心拍や振動等がわかる携帯端末を所持し、その情報に基づいて監視します。
⇒携帯端末を所持してないと検知できません。

また、監視カメラから取得した画像にモザイク処理を行うことでプライバシー保護を行う手法もありますが、撮影されることそのものに抵抗があることも多いです。

本技術は、原理的に一次元輝度分布だけしか取得しないためプライバシーを侵害しないこと、従来の様々な画像処理手法をそのまま利用できることが多いこと、想定される適用場面や振る舞いがカメラと類似していること、簡易なセンサシステムで安価に実現できること、非拘束・広範囲(数m程度)な計測が可能である点が特徴です。

【連携企業のイメージ】
例えば下記の企業と連携可能です。
1)見守りシステムを開発・販売している企業
2)見守り用センサを開発・販売している企業
3)公共用や駅用のトイレシステムなどを開発・販売している企業
4)老人ホーム・病院・福祉介護施設等へのシステムを開発・販売している企業
5)他、本技術の活用を希望する企業
※本技術の活用・普及にご協力いただける自治体等も歓迎いたします。

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
天井あるいは壁などに取付け可能です。無線通信機と連携して転倒を検出して見守りを行っている人物・センター等へリアルタイムに通知することも容易です。

・家庭への設置
例えば独居老人宅で、部屋やトイレ・浴室の中で急な転倒が発生した時に検知して見守りを行っている親族、警備会社等へ連絡することが可能です。

・トイレシステム
公共施設や駅などのトイレシステムでは、具合が悪くなった時にはブザーを押すことが一般的です。ただし、急な発作等で倒れてしまった場合、ブザーを押すことはできません。例えばトイレシステムの天井部に本センサを設置し、倒れた時に駅係員へ自動通報するなどの応用が考えられます。プライバシーも侵害しないため使用者にも心理負担を掛けません。

・老人ホーム、福祉介護施設、病院等
老人ホーム、福祉介護施設、病院等では高齢者の転倒防止が大きな課題になっています。
特に病院では加速度センサ・無線機が内蔵したペンダント型の転倒検出センサなどが普及していますが、常に身に着けていなければならず高価です。本センサを天井部に複数取付けることにより、非拘束の見守りシステムを実現できます。ベッドの起き上がり、異常行動の検知なども可能なため、個室付の老人ホームでの見守りにも効果的です。

・ロボットへの実装
家庭用のコミュニケーションロボットの市場が急拡大していますが、本センサを実装することにより、ロボット自体に見守り機能を付与することができます。他、移動用ロボットの人物検出などへの応用可能性があります。

また、輝度分布センサの構成としてラインセンサを2つ用いると、輝度分布のピーク位置の差から対象物までの距離情報が取得できます。この場合、人物の着衣や体型、背景、対象物までの距離によらず、人物の転倒状態等判別の閾値を自動設定できます。そのため、輝度分布センサの稼動開始時のキャリブレーションが不要になります。
奥行き情報と輝度分布情報から対象物の実際のサイズを推定できるため、人物とペットや荷物などの区別が可能になります。例えば、人物のみの検出を行うことにより誤検知を防ぐことができます。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
試作品やデータなどご紹介させていただきます。

【専門用語の解説】
(一次元輝度分布センサ)
一次元方向の輝度情報を収集するセンサです。本研究では、ラインセンサとロッドレンズを組合せることで構成しました。

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