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氷点下でもソフトマテリアルの物性が評価可能なクライオQCM(水晶振動子マイクロバランス)による評価手法の研究

資料

氷点下でもソフトマテリアルの物性が評価可能なクライオQCM(水晶振動子マイクロバランス)による評価手法の研究

組織名 東洋大学 総合政策学科 清田 佳美 教授
技術分野 その他 , ものづくり , 医工連携/ライフサイエンス , 環境/有機化学/無機化学
概要

QCM(水晶振動子マイクロバランス)を用いて、ソフトマテリアルの物性を氷点下でも測定可能な評価手法を研究しています。具体的には、-40℃~80℃の温度域で、粘性、弾性、吸脱着特性、電極界面溶媒特性、環境応答特性の力学評価、ゲル化,食品等の変質・吸湿・吸脱水特性などの測定が可能です。例えば、冷凍食品や不凍タンパク質、低温下の細胞挙動などを高精度で物性を評価する用途が考えられます。本技術の活用や、ソフトマテリアルの評価・検証に関心がある企業を歓迎します。

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【簡略図】
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【背景】
 QCM(水晶振動子マイクロバランス)によるソフトマテリアルの物性評価は広く利用されていますが、従来手法では結露が生じる低温や氷点下では測定が困難な問題がありました。しかし、食品分野やライフサイエンス分野を代表として低温・氷点下で物性を測定したいというニーズがあります。
本研究では、独自の測定法で、-40℃~80℃と広い温度域で、粘性、弾性、吸脱着特性、電極界面溶媒特性、環境応答特性の力学評価、食品等の吸湿・吸脱水特性などの測定が可能な評価手法を研究しています。例えば、冷凍食品や不凍タンパク質、低温下の細胞などの挙動を粘弾性の観点で高感度に評価する用途が考えられます。
本技術の活用や、ソフトマテリアルの評価・検証に関心がある企業を歓迎します。

【技術内容】
 雰囲気を制御可能なセル内で、ソフトマテリアル(ゲル状の試料)をQCM上に設置します。温度を制御しながらQCMによるソフトウェアの振動状態(粘弾性)をネットワークアナライザー等で測定することにより、ソフトマテリアルの物性を評価します。
 QCMは、水晶の結晶を極薄い板状に切り出した切片の両側に金属薄膜を取り付けた構造をしたもので、それぞれの金属薄膜に交流電場を印加することである一定の周波数(共振周波数)で振動する性質を示します。QCM上のソフトマテリアルが、QCMによる振動でどのようにふるまうかを分析することで、ソフトマテリアルの物性が検証できます。氷点下を含む-40℃~80℃の広い温度域で測定できるよう独自の手法を用いています。極微量の試料で測定が可能です。
 ソフトマテリアルの物性は、粘弾性特性、吸脱着特性、ゲル化挙動、電極界面溶媒特性、環境応答特性の力学的評価、食品等の変質・吸湿・吸脱水特性、溶出挙動などが測定・評価可能です。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
1)従来のQCMによる測定手法では、試料の液固転移(例えば凍結)など,非常に大きな粘弾性変化を生じる試料ではQCMの発振が止まり、測定ができなくなります。低温系では目に見えないレベルの結露により安定な測定が非常に困難です。本手法では、氷
点下でも安定した発振が得られ,データ処理により高い精度の物性評価が可能です。
2)氷点下→室温→氷点下→室温など、温度変化を繰り返したときの物性評価が可能です。すなわち、温度サイクルの繰り返しによる組織状態や硬さなどの物性の変化を検証することができます。
3)空気中の微粒子・水蒸気の付着を防ぐことができるため、低温下のソフトマターの物性評価に適しています。
4)簡易な装置構造であり低コストで観測可能です。
5)一般の動的粘弾性測定に比べ、極微量の試料量で観測が可能です。
6)微小物質、薄膜,電極界面などの高感度の物性観測が可能です。

【連携企業のイメージ】
 例えば下記の企業、研究所と連携可能です。
1)冷凍食品などを開発、販売している食品メーカー
2)生体分子、タンパク質など低温下での測定ニーズがある企業、研究所
3)QCMの研究・開発を行っている企業
4)他、低温・氷点下でのソフトマテリアルの物性評価のニーズがある企業、研究所

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
 例えば下記の用途に適用可能性があります。
(食品)
 冷凍食品など、氷点下になった食品の物性を測る用途に適しています。例えば、冷凍物性などを高感度に測定し、素材選択や素材構成などを検証することが可能です。それにより、素材の変性、品質管理、食感などの検証に適用可能性があります。

(ライフサイエンス)
 生体分子の評価において、従来の手法では10℃以下など低温における測定はいろいろと工夫が必要でした。本手法では、温度を精密に制御し,安定的な測定が可能です。
また、冷凍温度域における不凍タンパク質などの凍結を防ぐ物質の機能評価などにも活用可能性があります。

 これまで、ポリマー水溶液の粘弾性の温度依存性、O/Wエマルションの冷凍特性、刺激応答ハイドロゲルの相挙動・溶媒和挙動、ポパール水溶液の反復凍結融解によるゲル化特性を評価しています。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 本技術の活用や測定相談に興味がある方はお気軽にお問合せください。
実際の装置や測定事例の紹介を交えてご紹介させていただきます。

【専門用語】
(QCM)
水晶振動子の電極表面に物質が付着するとその質量に応じて共振周波数が変動する(下がる) 性質を利用し分子レベルの極めて微量な質量変化を計測する質量センサーです。
(ソフトマテリアル)
小さな分子がひも状につながった高分子、ゲル、ゴム、コロイド、ミセル、液晶、生体高分子(たんぱく質、糖質、DNA)、粘土などの柔らかい材料の総称で、金属,セラミックス,半導体などのハードマテリアルと大きく異なった性質を示します。
(不凍タンパク質)
生体において、主に生体の凍結防止や氷の再結晶防止による生物の生命維持に寄与するタンパク質のことです。耐凍タンパク質ともよばれ、近年では氷構造(化)タンパク質 (ice structuring proteins, ISPs) ともよばれることがあります。

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