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磁気ボトル効果を利用した超高感度電子分光装置

資料

磁気ボトル効果を利用した超高感度電子分光装置

組織名 国立大学法人 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 山北 佳宏 准教授
技術分野 ナノテクノロジー、医工連携/ライフサイエンス
概要  磁気ボトル効果を用いて従来手法の1000倍以上の超高感度を達成する電子分光装置を確立しました。今まで測定が困難であったアミノ酸やオリゴペプチドなどの生体分子や、気体中では微量しか存在しない物質、分子間力が極めて弱い分子クラスターの電子構造解析が可能です。応用例として、タンパク質解析などの医薬品開発や固体表面分析に活用可能です。本技術の製品化、あるいは本技術を用いた材料物性の測定・分析などの共同研究に意欲的な企業を歓迎します。
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【簡略図】
磁気ボトル10.jpg【背景】
 電子分光装置は、物質に一定のエネルギーを与え(光、励起原子などを使う)、物質から放出される電子の運動エネルギー分布を測定することにより、物質の電子状態を調べることに使われます。金属、半導体、絶縁体などの材料開発・設計を中心に、様々な用途で利用されています。ただし、気体中で希薄な物質などは測定が困難なために、コンピュータ上における分子シミュレーション(第一原理計算など)による解析が主流です。

 本技術では、既存の電子分光技術に磁気ボトル効果を組み合わせることにより、1000倍以上の高感度化を実現しました。今まで測定が困難であった様々な分子の観察を可能とし、新しい材料科学を切り拓きます。

【技術内容】
 既存の電子分光法に、磁気ボトル効果を組み合わせています。本技術の原理は以下のとおりです。

磁気ボトル11.jpg1)真空環境下において、分析対象の分子を超音速分子線として射出します。
   直交するように、ヘリウム励起原子ビームを交差させます。

2)分析対象の分子とヘリウム励起原子がぶつかったとき、
  分析対象の分子から、電子が全方向かつ連続的に飛び出します。
  全方向に飛び出しているため、速度ベクトルの方向は分散されています。

3)このとき、下側から強磁場、上側から弱磁場をかけると、
  ボトル型の磁場が発生します(磁気ボトル効果)
  発生した全ての電子は、ローレンツ力により螺旋運動を描きながら、
  弱磁場の方向に引き寄せられていきます。
  また、電子の速度ベクトルは、弱磁場方向に向かうごとに一方向へ収束します。
  (螺旋運動の軌道もそれに伴って変化します。なお、電子の運動エネルギーは不変です)

4)弱磁場側の出口に検出器を設置しておくと、
  分析対象の分子から飛び出した電子のほぼ全てを捕集し、かつ、
  一方向に集約された運動エネルギーを測定できることから、
  分子が持つ電子構造を精密に捉えることが可能です。
磁気ボトルの図.JPG※磁気ボトルの図と電子の軌道

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
 前記の通り、分析対象の分子とヘリウム励起原子がぶつかったときに発生する電子は全方向に飛び出しており、速度ベクトルの方向は分散されています。
磁気ボトル効果を利用しない場合、検出器が測定する対象は、検出器のある一方向に飛んだ一部分に過ぎず、大半は捨てていました。そのため、希薄な分子や、束縛エネルギーが弱い分子などは測定困難です。

 本技術では、磁気ボトル効果を利用することにより、従来技術と比較し1000倍の超高感度化を成し遂げています。そのため、従来までは測定が困難であった、アミノ酸やオリゴペプチドなどの超微量の構成分子、気体中ではほとんど存在しない分子の測定を可能としています。

【連携企業のイメージ】
本技術の活用を希望する企業などを歓迎します。例えば、以下の企業などへご提案が可能です。

1)電子分光装置を開発しており、更なる感度の向上を必要とする企業。
2)電子分光の測定を行なっているが、更に感度の良い測定を希望する企業・大学・研究所。
3)医薬品等の開発を行うために微量物質・希薄物質の電子構造解析と質量分析を
  必要とする企業・大学・研究所。
4)他、本技術の実用化に意欲的な企業。

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
今まで測定が困難であった分子の観測が可能です。
例えば、以下の用途で適用可能です。

1)アミノ酸、オリゴペプチドなどの最小構成単位の電子構造解析
 -アミノ酸はタンパク質の構成単位です。
  医薬品開発においてタンパク質の電子構造解析を行う上で、
  アミノ酸やオリゴペプチドの電子構造は重要な知見となりえます。
グリシン.jpg                                     ※グリシン(アミノ酸の最小単位)の実験データ

2)気体中ではほとんど存在しない分子の電子構造解析
・溶液として溶けず、通常固体でしか存在しない原子・分子をレーザー蒸発を用いて気化させる手法。
 -多環芳香族炭化水素(略称PAH)、
 -ナノチューブなどのカーボン素材・ナノカーボン
 -金属ナノ粒子(金、合金など)
 -分子量の大きな有機化合物
 -高分子(たんぱく質、合成繊維、糖類)
 -生体分子・医薬品
・大気汚染物質
 -多環芳香族炭化水素(略称PAH)
 -窒素酸化物
 -硫黄酸化物
 -光化学スモッグ
・気相プロセス(CVDなど)中の分子
 -半導体製造・ナノ加工
 -自動車の排気ガス
 -触媒反応
3)分子間結合が極めて弱い分子クラスターの電子構造解析
 -ファンデルワールスクラスターと呼ばれます。
  測定には極めて高感度が必要とされるため、既存技術では測定困難です。
4)他、測定が困難であるがゆえに分子シミュレーション(第一原理計算など)を
  行なっているが、実験による測定・検証を必要とする用途。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 実験機はほぼ出来ています。お問合せ後、技術面談にて詳しい技術内容をご説明させていただきます。研究室もご案内いたします。
また、山北准教授らは世界で始めて磁気ボトル効果を使ったペニング電子分光を実現しており、高度な分析技術ノウハウを有しています。本テーマに限らず、真空型分析装置や分子シミュレーションについて、技術相談へ対応可能です。

【専門用語の解説】
(アミノ酸、オリゴペプチド)
 アミノ酸は様々な定義がありますが、狭義には、生体のタンパク質の構成ユニットとなる「α-アミノ酸」を指します。タンパク質は特殊なものを除いて20種類のアミノ酸が結合して作られているため、アミノ酸とタンパク質は密接な関係があります。
オリゴペプチドとは、少数のアミノ酸が繋がったペプチド構造です。

(電子構造)
 物質(原子、分子を含む)における電子の状態です。電子の状態として、電荷密度、バンド構造、磁気構造(電子スピン状態)、フェルミ面、状態密度、原子間の結合状態などが挙げられます。本技術により、これらの解析が可能です。

(超音速分子線)
 入射エネルギーが可変でそのエネルギー分布幅が狭く、極めて低温なビームです。分子線とは、真空中を直進する細い線上の分子の流れを意味します。超音速分子線を用いると、物質を1~10 Kに瞬間的に冷却でき化学反応を詳細に理解することが可能です。

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