トップページ > 大学の技術・ノウハウ > フィードバック自動制御方式による高精度換気システム
資料 | |
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組織名 | 学校法人法政大学 理工学部創生科学科 小林 一行 教授 |
技術分野 | その他 , ものづくり |
概要 |
本換気システムは、給気扇連動型のフィードバック自動制御方式による換気システムです。連動のポイントは換気空間が排気扇の稼働により負圧になったとき、給気扇自体をセンサーとしてその負圧を計測して給気を行う方式です。 |
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詳細 |
【簡略図】
図1.給気扇連動型のフィードバック自動制御方式
【背景】
通常、室内の換気は、換気扇によって室内の空気を室外に排出することで行われています。換気扇によって室内の空気が排気されると、部屋の隙間などから外気が給気されることで、室内が負圧になることはありません。
近年、遮音や断熱を目的とした高気密住宅が増えつつあります。高気密住宅は、隙間からの給気が行われにくいため、給気口を設置し、換気扇で室内ガスが排気されるとともに、給気口から新鮮な空気が給気され、室内外のバランスが確保される仕組みになっています。
しかし、使用者が、室内の温度を保つために給気口を塞いでしまう場合や、給気口前に荷物などを置いたままとなり、十分に給気が行われず、室内が負圧になるケースが多くあります。室内が負圧となると、ドアなどが開きにくくなるという問題や、隙間から室内への空気の流入による、不快な低周波音や、使用していない換気扇が、逆回転する事による騒音の発生する場合があります。
さらに、室内が負圧であるために、換気扇による排気が十分に行われなくなることにより、ストーブなどの排煙を行う煙突から、不完全燃焼した一酸化炭素(CO)が逆流して室内に充満するケースや、その他有害ガスが十分に排気されず中毒の原因となるような事故も報告されています。
これら問題の対策として、室内が負圧にならないため、例えば、換気扇とは別に給気扇を設け、換気扇と連動して給気扇を動作させる方法があります。
しかし、この方法では、給気扇を常に使用するため、給気口が機能していれば本来不要なエネルギーを無駄に消費してしまう事になります。
本技術は、このような問題や課題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で、室内外の差圧に応じて給気扇を動作させる給気装置を提供することを目的としています。
【技術内容】
給気扇に使われるコンデンサ・かご型インダクションモータは、内部に積極的に永久磁石を入れることがないため、発電機にはなりえないということが常識でした。ところが本技術は、「かご」を保持するために積層鋼板を利用しており、これが磁化して微弱な磁石を構成していることを発見しました。差圧による給気扇の空回りを利用し、微弱な電圧であるが計測器として使える程度の交流電圧が発生し、交流電圧およびその周波数はファンにかかる動圧に比例します。これよりインダクションモータを高感度動圧計測装置として使用できるようになりました。
図2.給気扇の発電特性の差圧依存性
図2は給気扇の発電特性の差圧依存性について示した内容で、赤線が差圧、青線が給気扇出力電圧、圧力差が3Pa程度あれば、検出可能となります。
市販の10Φ換気扇で、3Pa程度の極めて微小な動圧が電圧に変換されるため、室内排気に伴う負圧を計測し、給気扇として作動させます。勿論この10Φ換気扇をセンサーのみとして使用し、より大型の給気扇を作動させることもできます。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
本技術は、簡易な構造で、室内外の差圧に応じて給気扇を動作させる給気装置を提供することができるため、高価な圧力センサーを用いることなく、給気扇の動作を制御することができます。
また、この差圧検知手段は、瞬間的な圧力変動の影響を受けることがないため、扉の開閉や人の移動などによってセンサー部が受ける圧力変化による誤動作を避ける事ができます。
さらに、数Paの極めて小さな差圧に対しても安定して検出することができるため、従来のベローズやダイアフラム型または半導体型圧力センサーと比較しても、微小な差圧を安定して検知することができます。所定以上の差圧を検知すると、タイマーによって、所定時間だけ給気扇を動作させることもできます。
図3. 住宅での自動換気における負圧の変化、赤:給気扇利用、青:排気のみ
【連携企業のイメージ】
1.住宅メーカー(高気密住宅での自動換気)
2.業務用厨房設備メーカー
3.病院設備、バイオ研究設備メーカー(感染症外来、病室、検査ブース等) 4.室内燃焼設備メーカー(薪ストーブ等)
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
1.換気により屋内が負圧になることで生じるトラブル解消の手段
2.既存の給気扇の省電力化、インテリジェント化に有効
3.従来の給気扇に付加価値を付けることで他社商品との差別化
4.技術的には、比較的容易に低コストによる商品化が可能
【技術・ノウハウの活用の流れ】
本研究にご興味があればお気軽にお問合せください。
デモ紹介や技術の詳細なご説明など対応させていただきます。
【専門用語の解説】
負圧:室外の気圧に比べて制御したい室内の気圧が低い状態であること 陰圧:室外の気圧に比べて室内の気圧を低い状態に制御すること
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