トップページ > 大学の技術・ノウハウ > 520%以上の伸長を実現する超伸長型人工筋肉「MD-LUFFY」
資料 | |
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組織名 | 中央大学 理工学部 中村 太郎 教授 |
技術分野 | ものづくり , 医工連携/ライフサイエンス |
概要 |
MD-LUFFY(Massively Deformed Linearly-elongation-actuator Using Flexible Fiber and Yarn)は、中央大学 理工学部 中村太郎教授によって開発された革新的な超伸長型人工筋肉です。この超伸長型人工筋肉は、軸方向に520%以上の伸長を実現し、径方向の膨張を20%未満に抑える特性を持ち、重量に対する出力が大きく、狭い空間での高効率な作業を可能にします。 |
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図1)MD-LUFFYの伸長前後の外観
従来の空気圧アクチュエータは、ゴムの編組スリーブを用いてゴムの軸方向変形を生成するマッキベン型人工筋肉(McKibben-type artificial muscles)や、材料の曲げ特性を利用して軸方向に伸長するベローズ型アクチュエータ(bellows type actuators)、シリンダースリーブとゴムチューブで構成されるアクチュエータなど、様々な原理のものがあります。
一方、例えばマッキベン型人工筋肉は、軸方向変位と同時に径方向の膨張してしまうという特徴があります。
また、ベローズ型アクチュエータでは、内径と外径の差が大きくなり、大きな壁厚が必要となります。このような特徴は狭い空間や複雑な環境での駆動で周辺機器等と干渉する恐れがあり、適用範囲が限られるという課題がありました。
上記から、径方向の膨張や壁厚を抑えつつ、高伸長を実現するアクチュエータが求められていました。
図2)MD-LUFFYと他のアクチュエータの最大伸長率/膨張率の比較
今回開発された「MD-LUFFY」は、ゴムチューブの外側にらせん状に巻かれた長い糸と、ゴム内部に埋め込まれた短繊維を用いることで、径方向の膨張を最小限に抑えつつ高い軸方向伸長の実現に成功しました。
この構造により、従来型の人口筋肉やベローズ型のアクチュエータの使用が難しかった産業分野での応用可能性が期待されます。たとえば、細く複雑な配管内を駆動し検査や清掃を行うソフトロボットや、人体近くで駆動する医療用ロボットなど、様々な用途への適用の可能性があります。
MD-LUFFYの動作原理について、以下に説明します。
空気圧を利用した伸縮メカニズムに基づいており、ゴムチューブの内腔に空気圧を加えると、ゴムチューブは軸方向に伸長します。このとき、ゴムチューブの内部圧力が増加することでチューブが引き伸ばされます。内部の空気圧を抜くと、ゴムチューブは元の形状に戻ります。
MD-LUFFYでは、ゴムチューブの外側に巻かれた柔軟な長い糸(ヘリカルヤーン)が、径方向の膨張を抑制することにより、ゴムチューブは主に軸方向に伸長し、径方向の膨張は最小限に抑えることができます。ゴムチューブ内の短繊維(短繊維強化材)は、ゴムの強度を高め、ストレス集中を緩和することで、破損を防ぎます。短繊維は特定の方向に配向されており、その方向に沿った強度の付与に寄与しています。
図3)MD-LUFFYの構造図
・高い軸方向伸長率:520%以上の軸方向伸長を実現
・径方向の膨張が20%未満
・高いパワーウェイト比で、軽量でも大きな出力密度が発揮できる。
・水中で使用可能であるなど、耐環境性に優れている。
・摺動部が無いためメンテナンスが容易。
・柔軟性があり、筋特性と同様の特性を持っている。
・材料費が比較的安価。
例えば下記の企業と連携可能です。
1)アクチュエータ・ロボットハンド・マニピュレータなどのロボット用制御機器の開発・販売を行っている企業
2)リハビリテーション機器・ウェアラブル機器など人間に対する安全性を重視する産業機器の開発・販売を行っている企業
3)産業用ロボット・医療用ロボットの開発・販売を行っている企業。
4)他、本技術の製品化・活用に意欲がある企業。
1)配管内部検査など、狭い配管内部を移動して検査を行うロボットとして。
2)柔軟なグリッパーなど、製造ラインでの物体の取り扱いや、食品産業でのデリケートな素材の取り扱いへの使用。
3)医療・リハビリテーション用途。
麻痺患者の動作を支援する外骨格や、
手術中の細かい動作をサポートするロボットアームとして
4)フィットネスやヘルスケアにおける柔軟なウェアラブルデバイス 等
本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
デモを交えてご紹介させていただきます。
【人工筋肉】
人工筋肉は、外部から何らかの制御を受けて形を変形させ、それにより仕事を行う素材の総称です。電場を掛けると収縮・伸張する圧電素子や、イオン濃度差により変形するゲル、光により膨潤・収縮する高分子なども含まれます。
本人工筋肉はゴム内部に空気圧を送ることで収縮・膨張させる機構であり、柔らかく人に安全なゴムを用いることからソフトアクチュエータとも呼ばれています。
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