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任意のニューラルネットワークに適したチューニング・高速処理が可能な汎用アクセラレータの研究開発

資料

任意のニューラルネットワークに適したチューニング・高速処理が可能な汎用アクセラレータの研究開発

組織名 国立大学法人電気通信大学 大学院情報システム学研究科 三輪 忍 准教授
技術分野 IT
概要

人工知能がビジネスで着目を集める中、ディープラーニングを代表としたニューラルネットワークの活用が進んでいます。ニューラルネットワークのアルゴリズムの性能を十分に発揮して高速計算処理を行うためには、アルゴリズムに適したアクセラレータの利用が重要ですが、今まではアルゴリズムに特化した専用アクセラレータしかありませんでした。そこで、様々なニューラルネットワークのアルゴリズムに対して、容易にチューニングが可能な汎用性の高いアクセラレータの研究を進めています。本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎いたします。

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【簡略図】

20160226090015.png【背景】
 ディープラーニングの登場により、画像認識や音声認識を始めとする多くの分野において、ニューラルネットワークに大きな注目が集まっています。それにともない、ニューロンの振る舞いをLSI 上に実装し、ニューラルネットワークのシミュレーションをハードウェアで高速かつ低消費電力に行う、ニューラルネットワークアクセラレータが多数開発されています。そのようなアクセラレータとして、例えば、 IBM 社のTrueNorth、あるいはアーキテクチャ分野のトップカンファレンスの1 つであるMICRO-47でベストペーパーに選ばれたDaDianNaoなどがあります。
 ニューラルネットワークのアルゴリズムの性能を十分に発揮すべく高速計算処理を行うためには、上記のとおりアルゴリズムに適したアクセラレータの利用が重要ですが、今まではアルゴリズムに特化した専用アクセラレータしかありませんでした。
 また、ニューラルネットワークの研究は世界的にも進展が著しく、今後は更に優れたアルゴリズムが生まれることも十分に予測されます。
 そこで、ニューラルネットワークの計算を専用回路ではなくユーザが定義できるようにすることで、任意のニューラルネットワークの高速化に利用可能な汎用アクセラレータを研究開発しています。
本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎いたします。

【技術内容】
  任意のニューラルネットワークの認識処理と学習処理を加速できるという点において独創的です。従来アクセラレータではエンドユーザがネットワーク構造は変更できましたが、カスタムハードウェアで実装されたニューロンモデルは変更できませんでした。また、従来アクセラレータは学習をサポートしていないか、あるいは、学習アルゴリズムがカスタムハードウェアで実装されており、ニューラルネットワークの学習そのものができない、あるいは、学習可能な場合でも学習アルゴリズムの変更はできませんでした。これに対して本研究のアクセラレータは、ニューロンモデルと学習アルゴリズムをプログラムとしてエンドユーザに記述させ、それを解釈・実行するフレームワークを提供することで、任意のニューラルネットワークの計算を加速します。
 このような汎用性を有するニューラルネットワークアクセラレータは類をみないものであり、幅広い応用が考えられます。例えば、ディープラーニングはGoogle 画像検索、Android やSiri の音声認識など多くの分野で商用利用されていますが、本研究のアクセラレータはこれらのアプリケーションを高速化するために利用できます。また、ニューロンモデルと学習アルゴリズムをエンドユーザが変更できることから、新しいニューロンモデルや学習アルゴリズムの研究開発を加速するためにも利用可能です。さらに、より複雑な学習アルゴリズムを短時間で実行することが可能となり、さまざまなニューラルネットワークの認識率向上に繋がる可能性があります。
 このように、我々のアクセラレータは、エンジニアから研究者まで全ユーザ共通の計算基盤となる可能性を秘めています。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
 これまでに開発されたニューラルネットワークアクセラレータはその用途が極めて限定的であり、応用ごとにまったく別のアクセラレータが利用されています。例えば、ニューロンモデルにはさまざまなものが存在しますが、各アクセラレータがシミュレート可能なニューロンモデルは唯一であり、異なるニューロンモデルを採用したネットワークを同じアクセラレータでシミュレートすることはできません。

 加えて,近年のニューラルネットワークのシミュレーションでは学習に要する時間も膨大となっているにも関わらず、ほとんどのアクセラレータは認識処理のみを高速化の対象とし、学習処理をサポートしていません。
 これらの問題点が、既存のアクセラレータがいまだにニューラルネットワークシミュレーションの統一的なプラットフォームとなり得ていない原因と考えられます。

 本研究のアクセラレータは、既存の手法だけでなく新規のニューラルネットワークアルゴリズムにも適用でき、かつ認識処理だけでなく学習処理も対象とすることを目指している、汎用的なニューラルネットワークアクセラレータです。

【連携企業のイメージ】
 本技術の活用に意欲がある企業を歓迎いたします。
例えば、下記の企業と連携できる可能性があります。
1)アクセラレータの研究開発を行っている企業
2)人工知能システムの研究開発を行っている企業
3)ニューラルネットワーク用アルゴリズムの研究開発を行っている企業
4)その他、本技術の活用に関心がある企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
 ニューラルネットワークを搭載した人工知能システムに本アクセラレータを活用することにより、ニューラルネットワークのアルゴリズムの性能を十分に引き出すことが期待できます。
 基本的にはニューラルネットワークであればアルゴリズムの種類を問わず本アクセラレータを適用可能なことが特徴です。即ち、既存のアルゴリズムだけでなく、現時点では未知の新規手法に対しても適用することが原理上可能です。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 お問い合わせ後、本技術の詳細についてのご説明をさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

【専門用語の解説】
(ニューラルネットワーク)
 ニューラルネットワークは、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルです。
 画像や統計など多次元量のデータで線形分離不困難な問題に対して、比較的小さい計算量で良好な解を得られることが多いため、現在では、特徴量に基づく画像認識、市場における顧客データに基づく購入物の類推など、パターン認識、データマイニングとして応用されています。

(ディープラーニング)
 ディープラーニングは深層学習とも呼ばれ、多層構造のニューラルネットワークの機械学習の手法です。汎用的なAI、いわゆる強いAIの実現が期待されています。

(アクセラレータ)
 アクセラレータとは、コンピュータの処理能力を高めるために、追加して利用するハードウェアやソフトウェアの総称です。

 アクセラレータは、その用途や種類によって「~アクセラレータ」という名称で呼ばれることが多く、大まかに分類すればハードウェアアクセラレータとソフトウェアアクセラレータに大別することができます。

 ハードウェアアクセラレータには、より高性能なCPUに置き換えて処理能力を高めるCPUアクセラレータや、グラフィック表示を高速化するグラフィックアクセラレータ、3D表示を高速化する3Dアクセラレータ、暗号通信を高速化するSSL(Secure Socket Layer)アクセラレータなどがあります。ソフトウェアアクセラレータには、Webサーバーとの接続を高速化するインターネットアクセラレータ(Webアクセサレータ)があります。

 本技術はハードウェアアクセラレータに関するものです。

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