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大学の技術・ノウハウ

スマートフォンと磁性粒子を用いた持ち運び可能なバイオセンシングシステム

資料

スマートフォンと磁性粒子を用いた持ち運び可能なバイオセンシングシステム

組織名 電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻  Sandhu Adarsh教授
技術分野 ナノテクノロジー , 医工連携/ライフサイエンス , 環境/有機化学/無機化学
概要

磁性粒子を標識に用いた、スマートフォンのカメラと組み合わせて使えるバイオセンシングシステムを開発致しました。溶液内の磁性粒子の動き・挙動を観察することで生体物質の検出を行います。装置が小型で操作に専門知識も必要としない上、ほんの数分で標的物質の検出することが可能です。本技術を用いれば、インフラの整っていない地域であってもスマホさえあれば手軽に血液や唾液、尿などからガンなどの病気を自己診断することができます。また本技術で撮影したデータを、スマートフォンを用いリアルタイムにクラウド上で医療機関と共有することで、より精度が高く迅速な遠隔医療の実現に貢献する可能性があります。
本技術にかかる発明は特許出願済みです。(特願2019-105605)

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【簡略図】

図1 磁性粒子を用いたバイオセンシングシステム

【背景】
 生体分子の識別を行うバイオセンサーは昨今、医療診断、環境分野、食品産業といった多様な領域で活用されています。バイオセンサーは従来、標識に蛍光体を用います。この従来の蛍光標識法は高感度観測が可能という利点の一方、装置が大型である、検出時間が長い、操作には専門的な知識が必要となる、といった欠点があります。
 本技術は蛍光体の代わりに直径約250ナノメートルの微小な磁性粒子を標識として使うことで、ターゲットとなる物質に磁性粒子が素早く結合し、その粒子の挙動の変化をスマートフォンのカメラを利用し観察することで簡単かつ迅速に物質を検出することができるというものです。

【技術内容】
 本技術は、磁性粒子をバイオセンシングに応用しています。
 溶液中の磁性粒子は通常状態では液中をランダムに漂っていますが、ここに電気を流すことにより磁性粒子が規則的に動くよう制御します。(下記図2)

図2 磁性粒子のみ

さらに、この状態の磁性粒子に標的となる物質が結合すると磁性粒子の動きが制限されるという変化がみられます。(下記図3)

図3 磁性粒子に標的となる物質が結合

 こうした粒子の挙動を追跡し、振幅量の変化を観察することで標的物質を検出します。

 また磁性粒子の特徴として、表面装飾が自在であるということが挙げられます。検出したい標的物質に合わせて磁性粒子の表面を設計することで、標的物質と結合するようになります。(下記図4)

図4
図4

【実験結果】
 実際に作成したバイオセンシングチップを用い実験を行いました。
 この実験では磁性粒子としてカルボキシ基COOHを、検出する標的物質としてアミノ基NH2を用いました。COOHは、それ単体の状態で電気を流し制御すると、小さな円を描くように規則的に動くことが確認されました。下記図の緑色の線は磁性粒子の動きを追跡し表示したものです。(下記図5)

図5 バイオセンシングチップ内のCOOHの様子

 それに対し、COOHにNH2を加えた溶液中の粒子の動きを観察するとCOOHだけのものと比較し粒子の動きが低減することが確認できました。(下記図6)

図6  COOHにNH2を加えた溶液中の粒子

 下記図7はCOOHのみの溶液(赤線)とCOOHとNH2を混合した溶液(青線)それぞれの溶液内の粒子の動きの振幅量を示したグラフです。NH2を含む溶液内の粒子の動きが明らかに低減していることが確認できます。

図7 溶液内粒子の動きの振幅量

 下記図8はNH2粒子の濃度を変化させた際の振幅分布を示したものです。NH2の濃度が高くなるに従い振幅ピークが減少していることが確認できました。

図8  NH2粒子の濃度を変化させた際の振幅分布

【装置の構造】
 バイオセンシングチップ内には磁性粒子を含む溶液が充填されており、その中に検出対象となる抗原を含む溶液を滴下し観察を行います。
 スマートフォンのカメラの開口部に拡大レンズを取り付け、バイオセンシングチップ内の磁性粒子の動きを追跡観察します。カメラ機能で撮影された動画像を取り込み、所定の画像処理プログラムを実行することで、個々の磁性粒子の識別とトラッキングが可能です。(下記図9)。観察に用いるスマートフォンのカメラの、バージョンや機種の違いにより発生しうる特性ばらつきやフォーカス機能の相違を自動的に理解し、調整を可能とするため合成画像を用いたAI学習方法を提案しています。

図9 装置構造

 また一般的にナノ粒子と検知面との間結合相互作用はランダムに起き、安定した検出を行うにはインキュベーション(定温放置)期間が必要となります。光電子倍増管による蛍光検出や、磁気センサでは、広い範囲にわたって個々の粒子を追跡することが困難です。
 本技術は、基板上に電極対を配置し3次元的に粒子の動きを制御できるよう設計されており、これによりナノ粒子と他の物質との結合相互作用を促進し、広い範囲にわたって個々の粒子を追跡することのできるようになっています。

図10 小型プロトタイプ

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
・大型装置や専用の磁気センサ等を必要とせず、持ち運び可能な小型装置とスマートフォンのカメラ機能のみを用いて生体物質の検知が可能。
・生体物質の検知にかかる時間はたった数秒程度と従来の蛍光標識型バイオセンシングシステムと比較し大幅な短縮を実現する。
・世界中誰もが保有するスマートフォンを利用したシステムのため、インフラの整わない地域の人々であっても利用可能。遠隔地とのリアルタイムなデータ共有も可能。
・標的となる生体物質の種類を問わず応用可能。
・液中の試料の反応の観察が可能。

【連携企業のイメージ】
・ウイルス検査キット等を開発・販売する会社
・医療機器を開発・販売する企業
・環境調査・水質調査などを実施する企業
・ペット向けヘルスケア商品・医療製品等を開発・販売する企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
・感染症の早期発見目的で自己診断キットとして利用する
・観測されるデータをスマートフォン経由で医療機関と共有し、離島や未開発地域など遠隔地の患者のリアルタイムな診療に利用する
・水質調査などを行う企業で水質内に存在する特定の生体物質についての検出に利用する

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 本研究にご興味があればお気軽にお問合せください。
詳しい研究紹介を含め、連携に向けご面談等のアレンジが可能です。

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