【簡略図】
【背景】
近年、ディスプレイから触刺激を受ける研究のひとつとして錯触覚の研究が活発に行われています。特に、タッチパネル方式であるスマートフォンへの触覚提示手法は大きな注目を集めていますが、特殊な機器を必要とする、コスト高となる、などの理由により実用化が進んでいませんでした。
本テーマでは、硬さの不変な物体を握る際に、その握力に応じて変化するCGをユーザに提示することで、物体の硬さが変化したと錯覚する、「視覚誘導性錯触覚」という現象を利用し、モバイル端末操作者が触覚刺激を感じるプロトタイプデバイスを開発しました。必要なハードウェアは側面に取りつけるフィルム状圧力センサのみです。
本技術を用いたユニークなスマートフォンアプリケーションの実用化に意欲がある企業を歓迎いたします。
【技術内容】
1) スマートフォンの側面にフィルム型圧力センサを搭載します。
2) センサ部分の側面を握り、加圧すると、握力に応じて画面上の物体が形状変化するようにします。例えば下図のように、画面上の四角形の幅が狭くなります。
3) 2)の加圧をユーザに何度か繰り返し行わせることで、形状変化の度合いを認識させます。
4) 圧力センサの設定を変更し、これまでと同等の力圧でも形状の変化が異なるようにします。
5) ユーザは画面上の物体の形状変化度合いが異なることで、視覚誘導性錯触覚によりスマートフォンの『硬さ』が変化したように感じます。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
従来、スマートフォンといった素材の硬さが不変な物体に対しユーザに柔らかさを提示するためには、圧電アクチュエータなどを使って振動の周波数と振幅を制御する方法や、指先に電気的な刺激を与える方法などがあります。しかしながら、このような手法では、指先の力に対応した刺激をユーザに直接与えることはできません。
また、錯触覚を利用した触覚提示も盛んに研究がされておりますが、マウスなどの他のデバイスを使用する必要があります。
本技術を用いればユーザの力に対応した触覚刺激をスマートフォンとフィルム型圧力センサのみで直接与えることが可能です。
【連携企業のイメージ】
本技術の活用・実用化を希望する企業を歓迎します。
例えば、下記の企業に対してご提案が可能です。
1) スマートフォンを用いたアプリケーションを開発している企業。
2) エンターテイメントやアミューズメント関連の企業。
3) ヘルスケア関連の企業。
4) 他、本技術の実用化を希望する企業。
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
既存のスマートフォンに後付で実装が可能です。
1) スマートフォン向けアプリケーション
画面上の映像の変化を利用した握力トレーニングアプリなどのユニークなアプリケーションの作成が考えられます。
2) エンターテイメントやアミューズメント施設
錯触覚の原理を利用したユニークな遊具や装置の開発が可能です。
3) ECサイトで販売される商品の触覚提示
ユーザに対し、握るという動作での商品の触覚提示といった利用が考えられます。
【技術・ノウハウの活用の流れ】
試作品は既に開発済みです。お問い合わせ後、詳細にご説明させていただきます。
【専門用語の解説】
[視覚誘導性錯触覚(錯触覚)]
触覚と同時に適切な視覚的フィードバックを与えることで発生する、触覚に関する錯覚のことです。