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半導体量子ドットによるOCT用広帯域面発光素子の実現

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半導体量子ドットによるOCT用広帯域面発光素子の実現

組織名 国立大学法人 電気通信大学 情報理工学部 山口 浩一 教授
技術分野 ナノテクノロジー , 医工連携/ライフサイエンス
概要

光を使って超音波診断装置のように体の中を見る「光干渉断層計(OCT)」が、近年医療用途(眼科診断や、肺や消化器の前がん病変や早期がんの探知など)で注目されています。OCTは発光素子の広帯域化によって、より精細に病変を見つけ出すことが可能です。山口教授は、半導体量子ドットの高密度・高精度制御が可能な結晶成長技術を研究しており、203nmと広帯域で面発光する素子の確立に成功しました。本技術を用いたOCT光源の実用化に意欲的な企業を歓迎します。

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【簡略図】
山口先生.jpg【背景】
OCT(光干渉断層計)は近年注目を集めている医療・医薬用光画像診断手法であり、計測対象の内部からの後方散乱光/反射光を数μmの分解能で断層計測することができ、低侵襲・非接触・リアルタイムな断層画像を取得することができます。
この分解能は超音波診断装置に対して10~100倍の高分解能な特性であり、現在、眼科・皮膚科・細胞病理学などさまざまな応用がなされています。

OCTの分解能は、OCT光源の波長・周波数に関係しており、光源の周波数幅が広いほど解像度は高くなり、また、波長が長くなることにより、より組織の深い部分まで見ることができます。また、発光効率も重要です。

OCT光源は現在、LEDが利用されていますが、本テーマでは、従来よりも発光帯域幅が広く波長が長い半導体量子ドットをLEDの活性層に導入した面発光素子をご提案します。

(関連特許)
名称  :量子半導体デバイスおよびその製造方法
出願番号:特許公開2008-060475

名称  :量子ドットの形成方法
出願番号:特許公開2006-080293

名称  :量子半導体装置およびその製造方法
出願番号:特許公開2006-066463

【技術内容】
半導体量子ドットとはナノサイズの半導体構造であり、限られた空間内に高密度に量子ドットを生成することにより、高効率の面発光素子へ応用することが可能です。また、量子効果の発生によって、サイズ・組成の違いを持たせることにより、異なる波長帯域での発光を実現させることができます。

山口教授は、「SK成長モード」と呼ばれる結晶成長手法を用いて、量子ドット面内密度が6×10^11cm^-2の世界トップレベルの半導体量子ドットの超高密度生成技術を達成しており、かつ、サイズ・組成をあえて不均一に成長させるよう、高精度に制御する技術を確立しました。

そのため、
1)高密度であるために高効率であり、
2)不均一であるために広帯域である、
面発光素子が実現可能であり、OCT光源の要求スペックと合致しています。

本発光素子の結晶成長においては、その過程において、Sb(アンチモン)を導入する点、異なる量子ドット構造を3層積層した構造にしている点が特徴です。

なお、OCT光源への適用のため、あえてサイズ・組成を不均一化させていますが、2008年には世界最高レベルの高密度・高均一の量子ドット成長制御技術も確立しています。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
現在、OCTの光源としてLEDが利用されていますが、最も広いものでもスペクトル幅が150nm程度と言われています。本技術は203nmと非常に広帯域のため、従来のLEDと比較して、更に高精細にOCT画像を得ることが期待されます。

また、結晶成長の高密度化と不均一成長制御の両方を世界トップレベルの精度で兼ね備えている点は、他の結晶成長技術と比較した強みと言えます。

【連携企業のイメージ】
本技術の活用を希望する企業などを歓迎します。
例えば、以下の企業へご提案が可能です。
1)OCTを開発しており、より高精細な病変検出を希望する企業。
2)半導体の結晶成長技術を保有しており、広帯域の光源開発を希望する企業。
(半導体量子ドットのサイズを不均一化させた場合)
3)半導体の結晶成長技術を保有しており、狭帯域の光源開発を希望する企業。
(半導体量子ドットのサイズを均一化させた場合)
4)半導体量子ドットの結晶制御技術に興味がある企業。
5)他、本技術の実用化に意欲的な企業。

【技術・ノウハウの活用シーン】
OCTはその低侵襲性/リアルタイム計測/サンプル加工不要などの特性を生かして、以下のさまざまな特徴のもと応用され始めています。

1.一般的な切除生検が危険もしくは不可能な場合(眼、動脈、神経細胞など)
2.切除生検がエラーを含んでいる場所の場合、生検や細胞病理学はガンなどを含む多くの病気の診断の標準ですが、
偽陰性所見の場合、診断ミスが起きます。そこでOCTを用いた所見を事前に行うことで、サンプルエラーの確率を低減できます。

現在は眼科用のOCT用光源が普及していますが、今後、他の病変検査への波及が期待されています。
最も網膜に効率よく到達する光源の波長は830nm程度であり、その波長帯域に合ったLED光源が現在使用されていますが、本技術の波長帯は主に近赤外領域のため、むしろ他の病変検出への適用可能性を拓くことが可能です。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
半導体量子ドットによる面発光素子の生成技術は確立しており、試作品もあります。お問合せ後、技術面談にて詳しい技術内容をご説明させていただきます。研究室もご案内いたします。
また、山口教授は世界でも最先端の高密度半導体量子ドットの生成技術を研究しており、高効率の半導体量子ドット太陽電池(NEDOプロジェクト)や、半導体量子ドットレーザーなどの研究も進めています。半導体量子ドットの応用用途についてご興味がある方も歓迎します。

【専門用語の解説】
(半導体量子ドット)
半導体や金属などで作られた微小な粒子のことで、電子やホールを3次元的に閉じ込めることができます。量子ドットの中では、閉じ込め効果により電子の状態が量子化されるため、離散的なエネルギー準位が形成されます。量子ドットの作製には、薄膜を微細加工により島状構造にする方法や、成長時の歪みにより、自己組織的に島状構造を形成させる方法などが利用されます。

(SKモード)
Stranski-Krastanov Growth Mode(S-K成長モード)は結晶成長において2次元膜構造が3次元的島状構造に変化する事です。
このとき、結晶構造にあえて歪を与えることにより、結晶成長の挙動を制御することが出来ます。山口教授はこの制御技術に関して優れたノウハウを有しています。

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