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常温接合法を用いた光学結晶の複合構造デバイス化による固体レーザの性能向上、用途拡大

資料

常温接合法を用いた光学結晶の複合構造デバイス化による固体レーザの性能向上、用途拡大

組織名 中央大学 理工学部 庄司 一郎 教授
技術分野 ナノテクノロジー , ものづくり
概要

光学結晶は固体レーザの性能に大きな影響を及ぼすキーデバイスです。庄司研究室では、常温接合法と呼ばれる手法を用いて、光学結晶を2枚以上接合させた複合構造デバイスの製造技術を研究開発しています。本複合構造デバイスは、光学結晶バルク単体と比較して、高い放熱性の付与、高品質のレーザ光の発生、今まで使用できなかった光学結晶の活用など、固体レーザの性能を高めるとともに新しい用途を拓きます。本技術の活用・実用化に意欲がある企業を歓迎します。

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【簡略図】

【背景】
光学結晶は固体レーザの性能に大きな影響を及ぼすキーデバイスです。庄司研究室では、常温接合と呼ばれる手法を用いて、光学結晶を2枚以上接合させた複合構造デバイスの製造技術を研究開発しています。本複合構造デバイスは、光学結晶バルク単体と比較して、高い放熱性の付与、高品質のレーザ光の発生、今まで使用できなかった光学結晶の活用、など、固体レーザ装置の性能を高めるとともに新しい用途を拓きます。本技術の活用・実用化に意欲がある企業を歓迎します。

【技術内容】
1)真空チャンバー内に接合したい光学結晶を対向して配置します。光学結晶間の間隔は数mm程度です。
2)光学結晶の表面にアルゴン原子ビームを真横から浅い確度で照射し、酸化膜を除去して表面を活性化します。活性化して接合可能となるまで数分から10分程度です。
3)表面が活性化した状態でプレスし、接合します。
4)プレス部を持ち上げ、更に接合したい結晶をセッティングします。
5)同じプロセスを繰り返していきます。
6)接合完了後、複合構造化した光学結晶デバイスを真空装置から抜き取ります。

上記のプロセスは可動ステージを用いることで真空チャンバー内で行うことができます。途中で真空引きする必要が無いため、早く、効率的に製造可能です。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
1)常温で接合可能です。
2)原子レベルで高強度に結合できます。
3)今までレーザ、分光機器に利用できなかった様々な光学結晶を活用できる可能性があります。

既存の光学結晶の接合技術として、拡散接合(加熱するプロセスを含む)によって接合する手法があります。しかし、熱を加えても結晶品質がさほど劣化しないごく一部の光学結晶に用途が限られていました。本技術では様々な光学結晶が対象となり、拡散接合では熱劣化が生じる結晶も適用可能です。
また、常温での光学結晶の接合技術としてオプティカルコンタクトがありますが、物理的・熱的な外力に弱い弱点があります。

【連携企業のイメージ】
例えば下記の企業と連携可能です。
1)レーザ装置の開発・販売を行っている企業。
2)真空チャンバーを用いた光学部品の製造・販売を行っている企業
3)常温接合・拡散接合を事業としている企業
4)光学結晶の製造を行っている企業
5)光学結晶の加工を行っている企業
6)他、本技術の活用に意欲がある企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
1)固体レーザでは励起光エネルギーの一部が熱になって蓄積し、熱レンズ効果によるビーム品質の劣化や熱複屈折効果による変更の乱れが生じて効率低下の原因になります。さらに、最終的には熱歪みにより結晶破壊にいたるため、出力が制限されます。そのため、固体レーザの高効率・高出力・高ビーム品質化を図るためには、レーザ媒体内で生じる熱の制御が非常に重要です。
本手法を用いて、レーザに活性なイオンを添加した結晶(Nd:YAG、Nd:YVO4など)に、ダイヤモンドなど放熱性が非常に高い結晶を接合させると、効果的な放熱ができます。

2)結晶に光が伝搬したときに、ウォークオフと呼ばれる現象が発生すると、光の変換効率を低下(レーザ出力の低下に繋がる)させてしまいます。本手法を用いると、ウォークオフの影響を低減できます。
下記は、YAG結晶、Nd:YAG結晶の同種材料を接合してレーザを発振したときのデータです。効果的な放熱により高出力化を実現しています。


下記はBBO結晶を複合化させた写真です。


BBO結晶は深紫外域で主に用いられ、ウォークオフが発生しやすい材料のため、本手法は効果的です。下記のとおり、複合化させたBBO結晶(RTB-BBO)は、ビームの出力が向上しています。


他、LBO結晶はYAGレーザーの基本波λ=1064nmの光をλ=532nmの光に変換するために主に用いますが、同じくウォークオフを減らし出力を上げることができます。

3)拡散接合では熱歪みで実用に足る品質を出せなかった光学結晶(GaAs、SiC、LiTaO3など)も、本手法によって固体レーザに活用できる可能性があります。波長帯としても、短波長(200nm程度)から長波長(17μm程度)まで、レーザ加工機・レーザ分光器の用途を拡大できる可能性があります。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用に興味がある方はお気軽にお問合せください。
製造装置や実験データなどご紹介させていただきます。

【専門用語の解説】
(光学結晶)
レーザ発振を発生させるためのデバイスとして使われます。一般に使われるレーザ結晶には、近赤外出力としてNd:YAGやNd:YVO4、Nd:YLFなど、近赤外波長可変出力としてTi:サファイアがあります。

(BBO結晶)
正式な化学式はβ-BaB2O4です。深紫外コヒーレント光の発生が可能な代表的な材料です。深紫外は200~300nm程度の短波長帯で、近年はフォトリソグラフィや半導体の微細加工、欠陥検査、精密計測用の光源として多くの分野で需要が高まっています。

(常温接合)
高真空中で接合する基板表面に原子ビームなどを当てると、ダングリングボンド(原子における未結合手)が形成され活性化します。活性化した面同士を合わせると加熱を必要とせずに強固な接合が得られます。異種材料同士でも接合が可能です。
拡散接合のように高温に加熱する必要がないため常温接合と呼ばれます。

(オプティカルコンタクト)
結晶表面を精密研磨すると、表面上の分子は極めて不安定な状態になります。その状態で結晶同士を刷り合わせると表面の分子に相互作用が働き接合します。

(拡散接合)
接合しようとする面を清浄化し、高真空あるいは不活性雰囲気にて材料を加熱し、小さな力で加圧し、材料間の原子相互拡散により接合する方法です。

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