トップページ > 開放特許 > 焦点の異なる複数画像の合成による全焦点画像の生成
資料 | |
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組織名 | 国立大学法人 電気通信大学 情報・通信工学科 張 煕 教授 |
技術分野 | IT |
概要 |
焦点の異なる複数の画像を合成させ、ボケが無い鮮明な全焦点画像を生成する技術を確立しました。ソフトウェアが軽く、操作が容易であり、PCはもちろん、スマートフォン・タブレット端末等でも操作可能なため、一般のカメラユーザでも簡単に全焦点画像を合成することが可能です。また、デジタルカメラやビデオカメラなどに実装できる可能性があります。産業用途では、顕微鏡システムや3次元検査装置などへ適用可能です。本技術の実用化に意欲的な企業を歓迎します。 |
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【簡略図】
【背景】
通常、近景に焦点を当てて撮影すると遠景がぼけ、遠景に焦点を当てて撮影すると近景がボケますが、このような複数の焦点が異なる画像同士を合成させて、近景・遠景ともにボケがない鮮明な画像を得る手法を「全焦点画像」と呼びます。全焦点画像は、特に奥行きが深い物体の計測や、顕微鏡計測システム、3次元計測システムに対して有用です。
しかしながら、既存技術では、全焦点画像の一部にボケが残ることや、あるいは特殊な光学系・撮影系を用意して細かくピントを変化させながら大量の画像データを撮影するために、処理に時間が掛かることやハードウェアにコストが掛かるなどの問題点がありました。また、産業用途に利用が限定されていました。
本テーマは、高額な機器を使用することなく、少ない計算量で高速に、全焦点画像を得る画像処理手法をご提案します。
ソフトウェアが軽く、操作が容易であり、PCはもちろん、スマートフォン・タブレット端末等でも操作可能なことから、一般カメラユーザ向けの新しい画像処理アプリケーションとして実用化が期待できます。
※特許出願済み。
【技術内容】
本技術の原理は以下の通りです。
1)1つの撮影対象に対して、焦点の異なる複数の画像を撮影します。
2)近景に焦点を合わせた画像(遠景がボケた画像)と、遠景に焦点を合わせた画像(近景がボケた画像)を合成するとき、通常は焦点間の中間の領域がボケます。
3)この中間のボケている領域を鮮明にするためには、適切なマスクサイズを選択する必要があります。
マスクサイズが小さすぎると、近景のボケが残ります。
マスクサイズが大きすぎると、遠景のボケが残ります。
マスクサイズが適正であれば(少し大きい程度)、ボケが残らず鮮明です。
4)本技術では、画像のボケの度合いを推定し、適切なマスクサイズを選択することにより、ボケが無い鮮明な全焦点画像を得る画像処理技術です。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)
既存技術では、画像の合成時にボケている度合いを推定できていません。そのため、マスクサイズが適正でなく、合成画像にボケが残ります。また、操作者には、画像合成のノウハウを要します。
※境界面にボケが残留(赤丸部)
本技術では、画像の合成時にボケている度合いを推定し、適正なマスクサイズを決定しています。そのため合成画像にボケが残らず、鮮明です。自動的に最適なマスクサイズが決まるため、画像合成に慣れていない方でも作業が容易です。
※境界面にボケがありません。
また、演算量が少ないため、従来技術と比較して非常に高速に処理可能であることが特徴です。
なお、全焦点画像の今までの用途はほとんどが産業用途です。本技術は、一般カメラユーザ向けの新規アプリケーションとしても適用可能です。
【連携企業のイメージ】
本技術の実用化を希望する企業を歓迎します。例えば、以下に該当する企業へご提案可能です。
1)カメラユーザ向けの画像処理アプリケーションを開発・販売している企業。
2)家電量販店・カメラ専門店等との販路を有するソフトウェア開発企業。
3)Webダウンロード型コンテンツの開発・販売を行っている企業。
4)カメラあるいは光学機器の開発・販売を行っている企業。
5)他、本技術の活用、実用化に意欲がある企業。
【技術・ノウハウの活用シーン】
画像処理用途へ適用可能です。例えば、以下の用途で適用が可能です。
1)奥行きが深い景色における鮮明な画像の生成
※例えば、野山などにおいて、近くの花にピントを合わせつつ、遠くの山々もピントを合わせた画像を合成したい、などのニーズに対応可能です。デジタルカメラに特殊なレンズは必要ありません。撮影した焦点の異なる画像を、スマートフォンへSDカードで入力し、その場でソフトウェアを起動して画像を合成する、などの方法が考えられます。また、デジタルカメラ、デジタルビデオなどに本ソフトウェアを実装できれば、自動的に画像合成を行える可能性があります。
2)顕微鏡計測システム、3次元計測システムにおける鮮明な画像の生成
※既に全焦点画像が利用されている産業分野です。光学系を細かくずらしながら、大量の画像を撮影し、合成しています。本技術の活用により、より少ない枚数で、鮮明な全焦点画像を得ることができる可能性があります。
3)監視カメラにおける高精細画像の生成
※焦点を自動的にずらしながら高速シャッターで撮影し、本手法で処理することにより、不審者の画像を鮮明に得ることができる可能性があります。
【技術・ノウハウの活用の流れ】
基本的なソフトウェアは既に確立しています。お問い合わせ後、デモンストレーションや技術の詳細説明などさせていただきます。また、張 教授は、画像処理・信号処理・動画像処理等の専門家であり、ウェーブレット変換・ディジタルフィルタ・画像圧縮などに関して豊富なノウハウがあります。これらの技術分野に関わる技術相談・共同研究へ対応可能です。
【専門用語の解説】
(焦点合成)
複数の画像をデジタル画像処理によって合成し、擬似的に深い被写界深度を得る技術です。被写界深度とは、写真のピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲のことであり、被写界深度が深いと近距離の物体も遠距離の物体も鮮明に見えます。全焦点画像とは、被写界深度が非常に深い画像(パンフォーカス)と言えます。
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