トップページ > 企業の技術・ノウハウ > 大腸の動きでやさしく揉みながら超高粘度流体や固液混合流体運ぶ蠕動運動ポンプ
資料 | |
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組織名 | 株式会社ソラリス(中央大学発ベンチャー) |
技術分野 | ものづくり |
概要 |
この蠕動運動ポンプは、中央大学 中村研究室が開発した独自の人工筋肉を活用し、人間の大腸が食塊を運搬する蠕動運動を再現したものです。これにより、高粘度や固液混合流体など様々な流体の混合・搬送を実現しています。例えば、汚泥や食品・セメント等の搬送や、アースオーガーと組合せた地中内の掘削用途等へ応用可能です。 |
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【簡略図】
※株式会社LIXIL(旧株式会社INAX)と中央大学との共同研究による特許技術に基づく
【背景】
食品から工業製品まで様々な分野の工場や作業現場では、粘度のあるものや、固体と液体が混ざっているような流体が扱われています。しかし、それらの流体は、搬送する際に既存のポンプや配管では途中で詰まってしまったり、内容物が均等に混ざった状態のままで運べないなどの、多くの課題があります。
また、海中の掘削作業のような、泥水を掘削作業に用いるものは、長距離の安定した搬送が求められています。
【技術内容】
■蠕動運動を利用したポンプの原理
蠕動運動とは人間の大腸のように収縮・弛緩(しかん) しながら内容物を送り出す動きのことです。
この蠕動運動ポンプは、空気圧と人工筋肉によって、大腸の動きを再現しています。
パイプ全体が大腸のように動くことで内容物を搬送することができ、また「運ぶ」だけでなく「混ぜる」動きも同時に行っており、内容物を混ぜながら目的の場所まで運ぶことができます。
■蠕動ポンプの構成
このポンプはユニット単位で構成されており、このユニットを繋げることで方向・長さを自由に変更することができます。既存の製造ラインや環境に合わせた柔軟なレイアウトが可能です。また配管幅程度の狭小空間にも設置できます。
■性能表(理論性能グラフ)
〈前提条件〉
基本的な動作パターンを、4ユニットで構成し、以下の動作パターンを条件とする。
・閉鎖ユニット=2、搬送ユニット=2の動作パターン
・周期M[s]の時、エア印加M/2[s]、排出M/2[s]で動作する
・横軸・・・1サブセット(ユニットを連結した単位)を構成するユニット数
・縦軸・・・1サブセットから排出される流体の量
・横軸のmは、1サブセットの長さを示している
※上記グラフは理論値であり、ポンプの設置方法や搬送方向、流体の種別によって流量は変化します。
※実際の流量は条件によって理論値から数%程度の損失を想定する必要があります。
※実使用時には、内容物および搬送方向に応じて、動作パターンや周期を最適化することにより、さらに高い搬送能力を設計することも可能です。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
■モニタリング&メンテナンス
搬送物の状態のセンシングや故障検知等のモニタリングが可能です。ユニット化しているため、所望の個所のみ、簡単に交換ができます。また消耗品はゴムのみのため、ランニングコストを抑えることができます。
■空運転・正逆運転が可能
プロペラがないため空運転しても問題がありません。呼び水が必要なく、搬送したい時にすぐに動かすことができます。またポンプを動かす順番を変えることで逆方向にも搬送ができます。
■安全性が高い・環境を選ばない
空圧制御なので発火の恐れがなく、危険物流体の搬送に適しています。また粉塵環境や水中での使用にも対応できます。
■配管の詰まり防止・回復に利用
工場や航空機等乗り物内部の配管は、内容物を負圧で吸引している場合があり、配管内部で詰まって回復できなくなると致命的です。蠕動運動ポンプを詰まりやすい箇所の上流にスポット的に設置し、詰まりが発生した、あるいはしそうな状況で動作させることで、詰まりを防止・回復できます。
■他のポンプとの位置づけ
スクリュー型や、モーノ型などの回転方式では、移送量が多い反面、高粘度の流体には不向きで、また発熱などの問題があります。また、ピストン型やダイヤフラム型などの動力集中方式は、構造が簡単である利点がある反面、長距離輸送に不向きで、故障が多いのも課題です。
それに対し、この蠕動運動ポンプは高粘度流体の搬送が得意で、長距離輸送に優れており、上記のような既存のポンプの課題を解決しています。また故障した際のメンテナンス性にも優れており、故障したユニットのみを交換することで対応できます。
【連携企業のイメージ】
・粘度のある材料や固体と液体を混ぜる工程のある食品メーカー
・樹脂、顔料、接着剤などの化学メーカー
・医薬品メーカー
・化粧品メーカー
・掘削作業および建設工事を行う企業
・産業機械メーカー
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
・高粘度流体の長距離搬送
高粘度流体を長距離搬送して途中で詰まってしまうような時、搬送路自体が動く蠕動ポンプはその問題を解決できます。またポンプ自体の熱伝導機構を利用することで、温度低下による粘度上昇を防ぐこともできます。
・バッチ処理から連続工程へ
ミキサーで混錬した後、人手により次工程に運搬するバッチ処理を、蠕動ポンプを使うことで混錬と搬送を同時に行う連続工程に変えることができ、人手工数削減によるコストメリットを享受できます。
・新製品の開発に向けて
これまでになかった全く新しい混錬システムにより、新価値を提供できます。新しい食品や化粧品など、蠕動運動ポンプでしか生成できない商品を生み出せる可能性があります。
・極限環境下での活用
例えば水中など、従来のポンプが利用できなかった場所でもこのポンプは活躍することができます。これにより将来は海底資源の揚重現場でも利用できる可能性があります。
【技術・ノウハウの活用の流れ】
本製品にご興味があればお気軽にお問合せください。
詳しい製品紹介を含め、連携に向けご面談等のアレンジが可能です。
【専門用語の解説】
・蠕動運動
動物の消化管の運動、蠕形動物の移動運動などのように筋肉の収縮波を伴ううごめくような運動です。ヒトの消化管壁では外側の縦走筋と内側の環状筋、ミミズなどの体壁では外側の環状筋と内側の縦走筋、それぞれ二層の筋肉があり交互に伝播性の収縮をします。これらの収縮は体液や消化管内容物の静水圧を介して拮抗的に働き、一部がくびれて長くなったり、太く短くなったりします。
・アースオーガー
動力を使用しモーターを回すことで接続したスクリュー等を回転させて地中にねじ込んで穴を掘っていく機械です。1人で作業できる小型のものから大型クレーンでつり下げて自重を使って掘り下げるものまで様々な種類があります。
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