トップページ > 企業の技術・ノウハウ > ハイパースペクトルカメラ×機械学習による 受託分析サービス
資料 | |
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組織名 | MILK株式会社 |
技術分野 | IT , その他 , ものづくり , 医工連携/ライフサイエンス |
概要 |
大学発のベンチャー企業です。同社は、ハイパースペクトルと独自AIを組み合わせたシステムを「ANSWER」と名付け、受託分析サービスを行っております。北海道衛星株式会社製造のハイパースペクトルカメラを使用し計測したデータを、独自の機械学習手法を用いて分析します。これにより従来の計測レポートに比べ、高精度の分類や頑健性の高い予測が可能になります。同社のハイパースペクトルカメラを顕微鏡に搭載することで、微小な構造変化や欠陥を見つけることができます。さらに、悪性腫瘍の識別などの病理診断補助やリンパ球カウントなど、今までできなかった識別や解析に応用できます。もちろん、従来のハイパースペクトルカメラを利用していた分野でも「ANSWER」を活用できます。例えば食品の異物検知や成分の定量化、鮮度の分類などに応用することで、より高い精度の分析を可能にします。 |
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詳細 |
【簡略図】
【背景】
医療現場では、病理医の人出不足が慢性的となっており、患者さんが診断結果をもらうのに長い時間かかる場合や、病理医の業務過多により誤診断が増えてしまう可能性も指摘されています。そのため、昨今ではAIを活用した画像検査による病理診断補助ツールが開発されはじめています。しかし、未だ検出精度としては十分なものではありません。
北海道衛星株式会社が開発したハイパースペクトルカメラは、通常のデジタル画像の40倍近いデータを取得できますが、近年のCPUの計算能力の向上により、このハイパースペクトルの大規模データを人為的に削減することなく解析にかけられるようになりました。更にPythonやRなどの機械学習の利用に適した汎用型プログラミング言語が普及し、機械学習の手法を応用しやすい環境となったこともあり、通常のデジタル画像を用いた画像検査ツールよりも高精度の、ハイパースペクトルと独自AIを組み合わせたシステム「ANSWER」を開発し、病理診断に応用しました。
【技術内容】
(技術概要)
ハイパースペクトルカメラで撮影したデータは、通常のデジタル画像RGB3バンドを141バンドに分光して微細なスペクトル情報であり、通常のデジタル画像の40倍近い情報量を持っています。
そのハイパースペクトル画像にMILK株式会社が開発した機械学習を用いた独自AIによる解析を行うことで微小な構造変化や欠陥を見つけることが可能となりました。
このハイパースペクトルと独自AIを組み合わせたシステム「ANSWER」は、数枚のハイパースペクトル画像だけで、機械学習による分析を行うことができ、癌、非癌の分類だけでなく、亜分類も可能となる精度を実現しています。
開発した独自AI手法は、ディープラーニングを使用しておらず、検査結果に対する明確な根拠を示すことができます(特許取得済み)。病理診断の際に、病理医の先生方の診断補助ツールとして、安心して使えるシステムとして利用していただけるようデータを集めております。
(分析例)
1.)悪性腫瘍の識別
悪性腫瘍は病理専門医の顕微鏡観察によって最終的に”がん”と診断されます。中でも、すい臓の腫瘍は識別が困難とされており、客観的な診断指標が求められています。ハイパースペクトルカメラによって顕微鏡拡大されたすい臓細胞を計測することで、細胞レベルで98.7%の精度を得ることに成功しました。解析手法にはSVMやクラスタリング等の機械学習手法を用いています。
例)すい管がんの識別
結果:正答率98.7%、感度97.8%、特異度98.9%
2.)細胞核の高精度検出
細胞核のカウントや抽出ができます。通常のデジタル画像を用いた識別と比べ、核の境界を正確に識別できます。
専用アプリケーションによる分析の流れ
Webアプリ上にHSIデータをドラッグ&ドロップするだけの簡単操作で分析でき
ます(所要時間1分程度)。
1.ハイパースペクトル画像(HSI)の計測
2.HSIを「ANSWER」にアップロード
3.「ANSWER」がガンの可能性の高い場所を示す→病理医の最終判断
(分析サービス)
分析を希望するサンプルをお送りいただき、分析結果をレポートします。
分析対象:染色された、もしくは有色のプレパラートサンプルなど
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
少ないサンプル数で高い精度が得られます。ハイパースペクトルデータは通常のデジタル画像の40倍近い情報量を持っています。1サンプルから得られる情報量が増えることで、少ないサンプルで高い識別精度が得られています。
【連携企業のイメージ】
1)画像処理による検査システムを研究開発している企業、研究所など
2)病理診断を行う病院、検査機関
3)ハイパースペクトルによる異物検知や品質の定量化を可能にしたい企業など
■病理診断に活用する事例
患者さんより摘出した細胞にガン細胞が混ざっていないかをスクリーニングできます。がんの可能性が高いサンプルを優先的に病理医に診断していただく際、業務負担の軽減と診断精度の向上が見込めます。
■これまでハイパースペクトルカメラを使用していた様々なシーン
食品の異物検知や成分の定量化、鮮度の分類などもAIに学習させて分析することが
可能です。どのようなシーンでハイパースペクトルカメラが利用できるかについては下記をご参考くださいませ。
(純国産ハイパースペクトルカメラによる非破壊計測法)
https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/hyper.html
【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用にご興味があればお気軽にお問合せください。
【専門用語の解説】
(ANSWER)
Analysis Nature & Space with Electromagnetic Radiationの略称です。
(SVM)
Support Vector Machineの略称です。識別平面からの最近傍のサンプルプロットをサポートベクトルとして識別平面を最適化することにより識別を行う手法。
(クラスタリング)
距離関数を定義した上で、近傍の点同士をクラスターというグループとしてまとめるアルゴリズムです。
(亜分類)
病理分類は大きく悪性度の分類や組織型の分類があります。さらに枝葉の分類に当たるのが亜分類です。
(すい管がん)
すい臓がんの中でもすい管に発症する悪性腫瘍です。
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