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企業の技術・ノウハウ

ウエアラブル接触圧・温度センサ一体型レーザ血流量センサとそのヘルスケア等への応用

資料
組織名 Palmens株式会社
技術分野 その他、ものづくり、医工連携/ライフサイエンス、IT
概要 九州大学発ベンチャーのPalmens株式会社は、2002年、MEMS(Micro-electro-mechanical systems)1) 加工技術を用いて、主流であった光ファイバープローブを使用した血流計のファイバを廃し、小型化したセンサをプローブ先端部へ搭載し、さらにバッテリー駆動と信号処理部等システム部分の小型化設計によりシステム全体を身体に装着可能としたウェアラブルレーザ血流計を実現しました。このウェアラブルレーザ血流量センサの実現によって、従来では考えられなかった運動時や日常生活時などの動的環境下において末梢血流が安定して計測できるようになり、医学分野の研究者からも微小循環(末梢血管)が注目されるようになりました。 とは言え、この血流量センサにはもう一つの大きな課題があります。それは、血流量が接触圧と皮膚温度の影響を大きく受けることです。そこで、血流量に大きく影響を及ぼす接触圧と皮膚温度も同時測定可能な接触圧・皮膚温度センサ一体型レーザ血流量センサの研究開発を行ってきました。この度、Palmens株式会社はこの研究成果を製品として提供することにしました。 とは言え、この血流量センサにはもう一つの大きな課題があります。それは、血流量が接触圧と皮膚温度の影響を大きく受けることです。そこで、血流量に大きく影響を及ぼす接触圧と皮膚温度も同時測定可能な接触圧・皮膚温度センサ一体型レーザ血流量センサの研究開発を行ってきました。この度、Palmens株式会社はこの研究成果を製品として提供することにしました。
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【簡略図】

Palmens簡略図(これまでの技術展開).png図1.これまでの技術展開

Palmens(接触圧測定可能なレーザ血流量センサ).png図2.接触圧測定可能なレーザ血流量センサ(測定部位に接触するプローブ部分)プローブの径約10mm

 指に血流量センサを装着し腕を上げ、血管内の内圧を下げた時の血流量測定する、上肢挙上テストによる診断する方法がありますが、この接触圧測定可能なレーザ血流量センサを用いることにより、上肢挙上テストに代わる外力付加テスト(血管の外側の外圧を上げ相対的に血管内の圧力を下げて測定)を行うことができます。

【背景】
 レーザドップラ血流計の基本原理となるLDF(Laser Doppler flowmetry)法は、レーザ光照射に伴う生体組織からの後方散乱光スペックルにより非侵襲に微小循環血流を計測可能な方法として1980年代初頭から盛んに研究され始め、現在ではレーザ血流計という一般名称で商品化されています。

生体情報のウェアラブル計測は、健康管理や予防医学、または運転中やスポーツ中の危険防止などの観点から要望が高い。特に、血流量センサは、レーザ光を用いて末梢組織血流量を非侵襲に測定でき、臨床医用の分野において新たな治療指標として注目されています。血液の粘度が心血管事故を促進するという考えはかなり確立した概念となっているものの、高血圧やコレステロールなどの一般的なリスク因子と比べ注目されることが少ないのは過小評価と言わざるを得ません。

また非侵襲モニタであることから、自動車や電器、化粧品、入浴剤、繊維メーカー等の研究部門において快適性などの生理学的研究に用いられるなど、医学以外の分野にもその応用が広がっています。しかしこれまでの一般的なレーザ血流計は据え置き型の機器であり、また生体の被測定部と機器本体内の光源部・信号処理部を結ぶ光ファイバ製プローブが破損しやすく、さらに光ファイバ製プローブの動きや振動が原因で、計測される血流信号にアーチファクトが重畳するなどの問題があり、使用環境が限定される計測器であったため、携帯可能でしかも血流量に影響を及ぼす接触圧の同時測定が可能な血流量センサが必要とされています。

【技術内容】
 レーザの可干渉性の利用に基づく流量計は次の2種類に分類されます。一つは、動いている物体と静止した物体等からの散乱反射光の干渉に基づいたドップラーシフトを利用した速度計(図3-a)で、左右両方向から出射された2つの光ビームの散乱反射光のドップラーシフトを受けた干渉光のビート信号を検出することにより、その散乱物体の絶対速度を測定する方法である。動く物体を回折格子に置きかえると、モータなどに内蔵可能な高分解能のエンコーダとして使用可能である。もう一つは、反射散乱光の干渉の結果発生するスペックルパターン挙動の数学的確率の適用に基づくものである(図3(b))です。絶対速度をキャリブレーション無しで得ることは難しいが、感度が高く、装着の向きに依存しないという特長があります。

Palmens(MEMS ドップラーセンサ(速度センサ)).png

図3.これまで開発したマイクロマシニング技術を用いた2つのタイプのMEMS ドップラーセンサ(速度センサ)

 絶対速度を測定できるドップラーセンサであっても、管内では速度分布を有する上に、しかも生体内の血管は入り組んでいるため、生体の血流量測定では絶対速度の測定そのものが必ずしも有益でありません。生体の抹消血流量測定では、むしろ絶対値の測定よりも、再現性の良い、高感度の測定が望まれます。

図4に、開発したウエアラブル接触圧・温度センサ一体型レーザ血流量センサの センサプローブ、処理回路すべてを示しています。マイクロコネクタにはFPC(Flexible printed cable)が処理回路へ接続され、演算処理回路からはブルーツースの無線伝送で血流量信号、接触圧信号、皮膚温度信号がパソコンへ送信されます。IOT (Internet of Things)により、この演算処理回路がクラウド内での演算に置き換えられることが期待されます。接触圧測定用部品を搭載する前のMEMS血流量センサは、接触圧測定なしの超小型血流量センサとして従来のセンサ同様に使用可能であります。

Palmens(ウエアラブル接触圧・温度センサ一体型レーザ血流量センサ).png図4. ウエアラブル接触圧・温度センサ一体型レーザ血流量センサ

 

血流量計の測定原理
 VCSELチップから出射されるレーザビームは同心円状に拡散し、そのビームの一部は皮膚に入射し、皮膚内部で後方散乱光されます。その後方散乱光には赤血球などの動く微粒子によって引き起こされるドップラーシフトした散乱光と静止組織からのドップラーシフトがない散乱光がフォトダイオードPDで干渉し、その結果強度変調が検出されます。次式で示すように、強度変調したフォトダイオード出力のパワースペクトルP(ω)の一次モーメント<ω>は統計的に流量Qに比例します。

Palmens(数式).png

 血流量計では、統計的に導かれる平均値 に比例定数を乗した値が血流量Qとして使用されます。ドップラーシフトは、ベクトルであるため方向性を有するが、血流量計における流量の算出式(1)から算出される流量は、スカラーであり、センサの取り付け方向とは無関係です。前述のように、例え、絶対値が測定できる流量計であっても入り込んだ血管を有する生体の血流量に対し、キャリブレーション無しでは絶対値を測定することはできません。 いずれにしろ、キャリブレーションが必要というのであれば、血流量を式(1)で算出する血流量センサが、絶対値の測定よりも安定でしかも高感度であるので望ましいと言えます。図5に、上述の演算工程を図式化します。

Palmens(血流量信号の算出方法).png図5. 血流量信号の算出方法

■血流量と同時に接触圧を測定する意義 
 血流量が生体に与えられた刺激により、生体における血流量の変化を検討する際、血流量が測定部位における接触圧の影響を大きく受けることから、接触圧の変化に注意が必要です。接触圧の血流量との同時測定により、接触圧の変化によって血流量信号が変化したのではなく、生体そのものの血流量が変化したことを保証することができます。

 従来の血流計では接触部における力や接触面積が定まっていないことから、測定のばらつきが生理状態変化による血流量変化よりも大きくなり、血流量の変化による生理状態の変化の検出が難しくなる場合が多々あります。血流量の測定は部位にプローブを当てて接触圧を変化させたときに、接触圧と血流量の関係を図6に示します。接触圧によって血流量ならびに脈波振幅が大きく影響されることが分かります。接触時に加わる力がいつも同じとは限らないし、生体が柔らかく、また平坦でないことから、接触圧によって接触面積も変化します。このことから、従来の血流計で再現性ある血流量測定は困難です。

Palmens(接触圧に大きく影響を受ける血流量).png図6. 接触圧に大きく影響を受ける血流量

 図7は、運動前後における接触圧と血流量をの変化を測定した例です。接触圧の変化に伴い脈波高さが最大になるポイントがあり、そのポイントが運蔵前と運動中および運動後に変化していることが分かります。このように接触圧と血流量の関係を求めることにより、これまで得られなかったデータを得ることができることが期待できます。

Palmens(接触圧を次第に下げたときにおける血流量信号の変化).png図7. 接触圧を次第に下げたときにおける血流量信号の変化

 

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
 
血流量に大きな影響を及ぼす、接触圧と温度を同時測定可能なマイクロ血流量センサを開発しました。血流量は接触圧の影響を大きく受けるので、接触圧を考慮した血流量の測定が再現性良い血流量測定には不可欠です。
小型だけでなく、次の優位性があります

 ① 高い再現性の計測により、血流量による的確な生理状態変化の測定を実現
 ② 体動に強い脈波センサとしての使用可能
 ③ 脈波を顕著にするなどの種々のパラメータ設定可能
 ④ 血流量に大きく影響する接触圧や温度が同時測定可能
 ⑤ 上肢挙上テストに代わる外力付加テストを実現
 ⑥ Bluetoothによる無線データ伝送
 ⑦ ほぼ半額の価格を実現

【連携企業のイメージ】
 ① ヘルスケアシステム、リハビリに関する評価方法の研究開発・事業展開を行っている企業・研究機関。
 ② 運動効果、スポーツ医学、東洋医学、身体の血行や活性化、健康向上に関心がある企業。

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
■応用

 このウゥアラブル接触圧一体型レーザ血流量センサのアプリケーションは多岐にわたり、すでに強皮症や脱水症の診断、糖尿病患者のフットケア、ジョッギング時における血流量の変化、鳥インフルエンザ感染鶏の早期発見や飲酒の検知などへの応用を試みています。 医療、ヘルスケア、スポーツ医学、アニマルウオッチ、居眠りの検知、血行をチェックすることによる日常の健康管理など広い分野に応用が期待されています。

 ・脱水症の検出、ストレス検出、飲酒、運動効果の評価
 ・血行をチェックすることによる日常の健康管理
 ・糖尿病患者のフットケア
 ・自動運転時における運転手の居眠り検知(RRI、呼吸等による血流量変化)
 ・動物の病態検出
 ・振動に強い脈波センサとして使用

 また、血圧計と同時使用などにより、カフで血流計を押さえつけて血液が流れ始めるときのカフ圧SRPPを求めるのに有効です。

Palmens(応用分野).png図8. 応用分野

Palmens(接触圧、温度、血流量の同時測定例).png図9. 接触圧、温度、血流量の同時測定例

 図10に示しますように、指に血流量センサを装着した状態で、足のツボにスプーンを軽く当てると、血流量信号に大きな変化があり、皮膚や抹消血管における血流量が神経と大きく影響していることが分かります。

Palmens(東洋医学への応用).png図10. 東洋医学への応用

 血流量の脈波信号によりRRI距離と相関関係の高いピーク間時間距離を得ることができるため(図11)、ストレス状態かリラックス状態かなどの自律神経の評価ができます。

Palmens(心電信号のRRIと血流量の脈波信号のピーク間距離との相関関係).png図11. 確立された自律神経と関係する心電信号のRRIと血流量の脈波信号のピーク間距離との相関関係

図12に示すように、脱水症の被験者に挙上試験を行うと、血流量が下がった後回復するときの勾配が緩やかであり、かつ脈波高さが小さくなります。なお、上肢挙上テストに代わり外力負荷テストによっても同様に検知可能です。

Palmens(上肢挙上テストによる脱水症(発汗で2%体重減)の検知例).png図12. 上肢挙上テストによる脱水症(発汗で2%体重減)の検知例

 また、医学部と共同研究して得た成果として強皮症診断への応用があります。図13に示しますように、健常者は挙上により振幅が大きくなるものの、強皮症患者の振幅はむしろ小さくなります。これまでは、手に冷水負荷を与えた後サーもグラフで手の温度上昇変化を測定する診断から、血流量センサを指に装着し挙上することにより強皮症の改善具合を検知することができます。

Palmens(上肢挙上試験による強皮症診断例).png図13. 上肢挙上試験による強皮症診断例

 図14に、 運動前、中、後における心拍、平均血圧、血流量、一心拍当たりの血流量の変化を示します。運動中、心拍数は増え、運動後はすぐに減少するが、一心拍当たりの血流量は運動後においても横ばいか上昇しています。心拍数ではみれない運動効果が観察できます。

Palmens(運動前、中、後における心拍、平均血圧、血流量、一心拍当たりの血流量の変化).png図14. 運動前、中、後における心拍、平均血圧、血流量、一心拍当たりの血流量の変化

 図15にジョッギング時における耳たぶの血流量を示します。運動直後血流量は低下するもののその後直ぐに上昇します。負荷が大きい程、一気に血流量は上昇しますが、次第に血流量は一定値まで下がっています。

Palmens(ジョッギングにおける耳たぶの血流量変化).png図15. ジョッギングにおける耳たぶの血流量変化

 図16は、鳥インフルエンザの検知方法の一つとして研究した成果です鶏に血流量センサを装着し、日内変動を測定した例です。小型の長所を生かし、鶏に装着し血流量の日内変動を観察しました。この日内変動の乱れを検出することにより、鶏の病態を検出します。

Palmens(鳥の血流量の日内変動).png図16. 鳥の血流量の日内変動

 図17に、血流量センサを体動に強い脈波センサとしての応用を考慮した結果を示します。体動による影響を取り除いた場合にでも脈波センサのピークを検出できることが示されました。この場合には、接触圧センサは無しの血流量センサの適用が望ましいです。

Palmens(散乱光のスペクトル分布を基にした脈波センサ例).png図17. 散乱光のスペクトル分布を基にする血流量センサ信号から体動によるスペクトルを取り除いて脈波センサとして使用した例

 

【専門用語の解説】
1)MEMS
Micro Electro Mechanical Systemsの略。フォトリソグラフィ技術を用いて、多数個の微小機械を作製する技術。日本では1991年、マイクロマシン(MEMS)国家プロジェクトが開始されました。

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