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次世代半導体を用いた超低消費電力プロセッサに関する研究

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次世代半導体を用いた超低消費電力プロセッサに関する研究

組織名 国立大学法人電気通信大学 大学院情報システム学研究科 三輪 忍 准教授
技術分野 IT
概要  次世代の半導体プロセス技術に対応したプロセッサとして、チップ上に多種多様なコアを配置し、状況に応じてプログラムを最適なコアで実行する省電力プロセッサを研究しています。本研究の成果は、携帯情報端末、PC、低消費電力サーバなどへの応用が期待できます。本技術の活用に意欲がある企業を歓迎いたします。
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【簡略図】

20160201102622.png【背景】

 近年の半導体プロセス技術のもとでは、プロセス技術が進歩するにつれてLSI上のトランジスタ数は増加し続けるのに対し、トランジスタあたりの消費電力は今後も変わらないと言われています。この傾向は、今後のLSI設計において、電力制約よりも回路資源制約(具体的には使用可能なトランジスタ数の制約)が相対的に緩くなることを意味しています。そのため、将来は「低消費電力化のために回路資源を大量に使用したLSI」が、製造現場で受け入れられるようになると考えています。
 一方、現在の汎用プロセッサは厳しい電力制約にさらされており、超低消費電力なプロセッサがあらゆる場面で必要とされています。性能を維持したままプロセッサの消費電力を削減できれば、携帯情報端末のバッテリーの駆動時間を延長できますし、PCやサーバの稼働に必要な電気代を節約できます。
 本研究では、豊富な回路資源を利用可能な半導体プロセス技術下におけるプロセッサの構成方式として、
1)さまざまな性能と電力のコアを1チップに搭載し、
2)状況に応じて最適なコアを選択してプログラムを実行する
プロセッサを研究しています。プログラムの各フェーズを電力あたりの性能が最も優れたコアで実行することによって、プロセッサの性能を維持しつつ消費電力を削減します。

 本提案手法の活用に関心がある企業を歓迎いたします。
 なお、本研究はコロンビア大学・名古屋大学と共同研究を実施しています。

【技術内容】

  さまざまな電力効率のコアを多数搭載したヘテロジニアス・マルチコアを提案します。本提案手法では、整数系パイプのみからなるコアやループ実行に特化したコアなど、汎用性を持たないコアも含めてさまざまなタイプのコアをチップ上に搭載し、出現する命令列に応じて使用コアを切り替えながらプログラムを実行します。整数系命令のみから構成された命令列など、プログラム中には汎用性を持たないコアでも実行可能な命令列が存在します。そうした命令列を汎用コアよりも電力効率の面で優れたコア上で実行することによって、プログラムを実行した際の消費電力を削減します。提案アーキテクチャの概念図を以下に示します。


20160201102605.png 提案手法では、同じISA からなるヘテロジニアスなコアを1チップ上に搭載します。コア数は回路資源の許す限り、できるだけ多数のコアを搭載します。また、コアの種類も千差万別です。

 各コアは必ずしも任意の命令列を実行できる必要はなく、例えば,「分岐を含まない数十の静的命令からなるループを実行するためのコア」のようなコアが存在してもよく、「整数系パイプのみからなるout-of-order コア」のようなコアが存在してもよいです。このようなコアでは実行可能な命令列はある程度制限されますが、実行可能な命令列が現れた場合は高い電力効率でそれを実行できます。ある程度機能を省いたコアも用意することで、大幅な消費電力の削減が見込める命令列に対して高い電力効率を実現します。各コアは、基本的には、データ・キャッシュと命令フェッチ・ユニットを除くすべてのハードウェア資源を個別に有します。コアごとにこれらのハードウェア資源をカスタマイズすることにより、特定の命令列に対する電力効率を改善します。

 提案アーキテクチャがこれまでのヘテロジニアス・マルチコアと異なる点は、実行系の種類と実行系を切り替える時間粒度です。ARM社のbig.LITTLEを始めとする従来のヘテロジニアス・マルチコアは、各実行系が任意の命令列を実行することができ、また、その種類も2個と十分ではありませんでした。さらに、実行系を切り替える時間間隔は1,000,000命令程度と粒度が粗いことが課題でした。

 それに対し、本アーキテクチャでは、
1)汎用コアだけでなくある程度機能が制限されたコアもチップ上に搭載し、
2)それらを100 命令程度の細かい時間粒度で切り替えながら実行する
ことが最大の特徴です。多種多様なコアを細粒度に切り替えながらプログラムを実行することで,電力効率の改善を狙っています。

【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】

 理想的な状況におけるヘテロジニアス・マルチコアの消費電力と実行時間を評価しました。ここで理想的な状況とは、
1) コアの切り替えにともなう時間/エネルギ・オーバヘッドがゼロ、かつ、
2) 複数のコアの中から後述する最適なコアを瞬時に選択できる
という状況を意味します。
 評価したのは次の5 つのアーキテクチャです。
1)BASE
-big(out-of-order)コア1 つのみからなるプロセッサ。
2)BIG-LITTLE
-big(out-of-order)コアとLITTLE(in-order)コアの2 つからなり、コアを切り替えながらプログラムを実行するプロセッサ。2 つのコアはL1キャッシュを含むすべてのキャッシュを共有しており、1,000 命令ごとにコアの切り替えを行うか否かの判断を行うものとする。
3)PROPOSAL-10K
-後述する19 種類のコアの中から最適なコアを選択しながらプログラムを実行するプロセッサ。コアを切り替える判断は10,000命令ごとに行う。
4)PROPOSAL-1K
-コアの種類は上記と同じだが、コアを切り替えるか否かの判断を1,000 命令ごとに行うプロセッサ。
5)PROPOSAL-100
-コアの種類は上記と同じだが、コアを切り替えるか否かの判断を100 命令ごとに行うプロセッサ。
評価に用いたコアは下記の通りです。3種類の汎用コア(big, LITTLE, MLP)と16 種類の非汎用コア(LOOP,INT-*, FP-*, SLIM-* とその組み合わせ)を使用します。
 20160201102541.png各コアのピーク電力は下記の通りです。非汎用コアのピーク電力はbig のそれの6~8 割程度です。
 20160201102519.png5%の性能低下を許容した場合の各プロセッサの平均消費電力は下記の通りです。
(左から順にBASE、BIG-LITTLE、PROPOSAL-10K、PROPOSAL-1K、PROPOSAL-100)
 20160201102454.png
PROPOSAL-100(本提案)により、平均25%程度の消費電力を削減可能なことが分かります。

【連携企業のイメージ】

 本技術の活用に意欲がある企業を歓迎いたします。例えば、下記の企業と連携できる可能性があります。
1)タブレット、スマートフォンなどの携帯情報端末用プロセッサの製造業者
2)スマートセンサー、車載半導体などのマイクロコントローラの製造業者
3)ノートPC、デスクトップなどの汎用PC用プロセッサの製造業者
4)低消費電力サーバ用プロセッサの製造業者
5)その他、プロセッサ・アーキテクチャに関心がある企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
 携帯電話端末、スマートフォン、PC、サーバなどに本プロセッサを搭載することで、情報機器の消費電力を削減することができます。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 お問い合わせ後、本技術の詳細についてのご説明をさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

【専門用語の解説】

(ヘテロジニアス・マルチコア)
 異種のアーキテクチャからなるコアを同一チップ上に実装したプロセッサを表す用語です。それに対し、同種のコアを複数実装するプロセッサを「ホモジニアス・マルチコア」と呼びます。

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