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開放特許

温度の違いによるニオイの質や強度を1つのセンサで簡便に計測可能で人の官能特性に即したニオイセンサ

資料

温度の違いによるニオイの質や強度を1つのセンサで簡便に計測可能で人の官能特性に即したニオイセンサ

組織名 東洋大学 食環境科学科 大熊 廣一 教授
技術分野 ものづくり
概要 多くのニオイセンサは一定温度下におけるニオイを検出します。既存のニオイセンサは、ニオイに対して特性の異なる多数のセンサ素子を使用してニオイを識別するため、高価かつメンテナンスコストが掛かります。それに対し本技術は、温度を変えてニオイを計測する方式で1つのセンサ素子でも計測可能なシステムです。例えば、食品開発において加熱時におけるニオイの変化を評価できます。化粧品開発において気温が異なる状況下におけるニオイの違いを評価できます。他、様々な用途に適用可能です。本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎します。
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【簡略図】


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【背景】
 昨今ではニオイは様々な商品開発で重要度が高まりつつあります。ニオイは温度によって影響を受けますが、多くのニオイセンサシステムは一定温度下でニオイを計測するため、人間の官能に即した評価を行うには不十分です。既存製品は高価かつメンテナンスの手間も掛かり、トップノート/ベースノートと呼ばれる人間の官能特性を考慮した解析は難しいのが現状です。
そこで本研究では、温度の違いによるニオイの質や強度を1つのセンサで簡便に計測可能で人の官能特性に即したニオイセンサを開発しています。本技術の実用化・活用に意欲がある企業を歓迎します。

 【技術内容】
既存のニオイセンサシステムは、ニオイの元となる各香気成分に対して応答感度の異なる複数の金属酸化物半導体や水晶振動子、導電性高分子などをセンサ素子として使用し、一定温度下におけるニオイを総合的に計測し、得られた各センサ応答値を多変量解析等で統計的に処理して、ニオイの分類、識別評価を行っています。

しかしながら、香気成分は沸点順に蒸発し、ヒトの嗅覚に到達するため、一定温度下において平衡に達した蒸気成分を計測するこの方法では、官能的な評価とは異なり、最初に感じる印象的でフレッシュなニオイ「トップノート」や、最後まで鼻に残るニオイ「ベースノート」を分離識別することは困難です。

本研究では、トップノートとベースノートを識別し、官能評価と同様に時間と共に変化する香気変化を計測できるため、人の官能特性に即した評価が可能です。

本研究のニオイセンサシステムの測定原理は、測定したいサンプルを低温から高温に昇温させることで、温度変化に伴うニオイの質や強度の変化をニオイセンサ素子(金属酸化物半導体)により検出し、このニオイ応答プロフィールからニオイを識別・解析します。各温度によって刻々と変化するニオイをリアルタイムに計測し、解析することができます。

下記は試作したモデル図です。
測定したい試料(40μL程度)を保温ガラス円筒内に入れます。その上部にセンサ素子を設置します。温度制御器によって、試料を徐々に加熱します。その温度によって揮散するニオイ成分を酸化物半導体のセンサ素子で検出し、これを電圧変化として記録します。
20161116134511.png下記は得られるグラフの事例です。コーヒーを試料としています。
横軸が加熱時間、縦軸がセンサの出力(mV)です。
青線は、一定温度下での従来技術による測定で、センサ素子の出力が一定値を示した後、時間とともにニオイが蒸発していくため出力が低下していきます。
ピンク線は、本技術の結果で、時間経過により試料温度が上昇し、それに伴って揮散するニオイ成分が変化するためセンサ素子の出力も変化します。センサの出力が大きいほどニオイが強いことが読み取れます。温度によって揮発する成分が異なるため、ニオイの質(元となる成分)を評価することができます。
 20161116134531.png
本原理では、温度変化に伴う測定のため、トップノート/ベースノートを分離して測定できます。そして、その分離を高精度化する取り組みも行っています。

トップノートを精度よく検出するには、試料をより低温下に置き、ニオイ成分の揮散を抑制した状態から試料を昇温させる必要があります。私たちが果物などのニオイを嗅ぐとき最初に感じるフレッシュなニオイ(トップノート)を精度よく検出できるよう、試料の冷却・昇温システムにペルチェ素子を用いてニオイセンサシステムを改良し、測定開始温度がトップノート検出に与える影響について50%コーヒーを用いて検討しました。下記のグラフは、50%コーヒー(ピンク線)を20℃に保持し昇温させた場合ですが、ニオイセンサシステムの開閉による出力変動とトップノートの揮散が重なり、トップノートに起因する明瞭な応答ピークが確認できません。
 20161116134707.png
一方、下記のグラフでは、ペルチェ素子で試料を-8℃に保持して、この温度から昇温させた場合です。トップノートに起因する明確な応答ピークが確認できます。昇温開始温度を0℃以下にすることで、低温下で揮散するトップノート由来の応答ピークが精度よく検出できることが明らかとなりました。同様に、試料を高温下に昇温させることによってベースノートも高精度に計測可能です。
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【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
1)温度の違いによるニオイの変化を評価できます。
2)トップノートとベースノートを分離するため、人間の官能特性に即した評価ができます。
3)一つのセンサ(市販されているもの:数千円程度)で簡便に評価できるため、
安価かつメンテナンスコストも抑えられます。
4)測定対象は様々な材料に対応可能です。(材料の特性に応じて使用するセンサを選定します)
5)小型化可能です。(前記の試作機のモデル図のうち、温度制御器、記録計は原理的にはPCで制御・データ取得できます。試料の量は40μL程度なので、試料加熱部や保温カバー、保温ガラス円筒も小さいもので可能です。センサも1種類を取り付ければ測定可能です。)

【連携企業のイメージ】
例えば下記の企業と連携可能です。
ニオイ計測ないしは本原理を応用した様々な用途に対応可能です。
1)食品の開発・販売を行っているメーカー
2)化粧品の開発・販売を行っている企業
3)寝具メーカで、原料特有の臭気を評価したい企業
4)コーヒーなどの店舗で、メニュー開発を行う上で香りの評価を行いたい企業
5)自動車メーカで、エンジンオイルの劣化評価などのニーズがある企業
6)他、本技術の活用を希望する企業

【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
下記は一例です。他にも様々な用途が考えられます。

1)食品の開発・評価
様々な食品の温度によるニオイの違いを評価可能です。

下記は50%コーヒーのニオイ応答プロフィールです。
N1、A1は、スプレードライ法により、また、N2、A2は、フリーズドライ法により製造されています。スプレードライ法は高温の乾燥機の中にコーヒー液を噴霧して素早く乾燥させる方法で製造時の熱によって香味を損ないやすい特徴があります。一方、フリーズドライ法は、コーヒー液を-40℃以下で一度凍結させた後に細かく砕き、真空中、低温下で水分を昇華させる方法で、スプレードライ法に比べて香味は損なわれにくい特徴があります。(青色線は水による応答)

本測定におけるニオイ応答プロフィールでも明らかなように、両メーカーのフリーズドライ法(N2、A2)は、スプレードライ法(N1、A1)よりトップノートの応答ピーク(図中矢印)が大きく、最初に感じる香り立ちが高いことがわかります。また、全体的に香味が損なわれにくいことも、このニオイ応答プロフィールから明らかです。この4種類の中ではN2が、一番香り立ちが高く、ニオイのバランスが優れていることがニオイ応答プロフィールからわかります。これは官能検査の結果と一致していました。
20161116134745.png20161116134801.png他にも様々な食品に適用可能であり、100度以上まで昇温できるため、焦げた時のニオイなども評価できます。

2)化粧品の開発・評価
 化粧品においてニオイは重要な要素です。そして、気温や環境によって、ニオイは影響を受けます。季節や国など様々な場面に適した化粧品開発に役立てることが期待できます。

3)香料の開発・評価
 香料の開発には、トップノート、ミドルノート、ベースノートの要素が密接に関わってくるため、本技術は適しています。

4)寝具の開発・評価
 寝具として使用されるウレタンフォームなどの原料特有の臭気があります。ニオイの主成分は触媒として使用されている第3級アミン類で、ポリウレタンフォーム製造時0.05~0.5%の濃度で添加され、製造時の熱により大半は揮発しますが一部フォーム中に残存し、これが軟質ポリウレタンフォームのニオイとして残っています。この特有の臭気を軽減するため、成形時に柑橘系香料の添加、マスキング処理などが行われています。このようなニオイを軽減するための評価として活用可能です。

5)エンジンオイルの劣化評価
 本技術は、温度変化に伴う揮発成分を簡便に測定する機構です。エンジンオイルの酸化状態や成分などを安価かつ現地で測定するなどの応用可能性があります。

【技術・ノウハウの活用の流れ】
本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
測定データを交えて原理や装置説明などご紹介させていただきます。

【専門用語の解説】
(トップノート、ミドルノート、ベースノート)
ノートとは、揮発速度のことで、揮発速度が速いもの、中間のもの、遅いものの3種類にわけられます。これら3種類は、揮発速度が早いものから、トップノート、ミドルノート、ベースノートと言われます。

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