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開放特許

インビボイメージングに資する長波長発光材料の創製と実用化

資料

ホタル生物発光系を用いた長波長発光材料とバイオイメージングへの応用

組織名 国立大学法人 電気通信大学 量子物質工学科 牧 昌次郎 助教
技術分野 医工連携/ライフサイエンス
概要 細胞内のタンパク質などを蛍光物質(バイオプローブ)で光らせ、生体内現象をリアルタイムで観察する「バイオイメージング」が近年注目されています。特に発光材料での可視化技術の期待は大きく1)高輝度であること、2)発光ピークが長波長(650nm~800nm:生体の窓領域)であること、が求められています。本技術では、発光効率が非常に優れているホタルの発光原理を生かし、かつ独自のノウハウにより、生体の窓領域における高輝度発光材料を実現しました。本技術の国際的な実用化に意欲的な企業を歓迎します。
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【簡略図】
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【背景】
 先駆的ながん研究を推進する技術として、細胞の中のタンパク質などを蛍光物質で光らせその働きをリアルタイムで観察する「バイオイメージング」が知られています。蛍光や発光により特定な細胞等を検出可能とする標識材料(バイオプローブと呼ばれています)は、この様なバイオイメージング技術に欠かせない材料ですが、生体内においては、650nm未満の波長の光は、血液などに吸収されてしまうため、外部まで透過しにくく、生体深部のイメージングを精密に行うには、650nm以上の発光材料が必要とされています。
 本テーマでは、ホタルの発光現象から知見を得て、675nm以上の近赤外光新規バイオプローブ材料をご提案します。ホタル生物発光型材料では世界でも最も長い波長での発光を実現しています。JST つなぐしくみ、シーズ発掘試験、A-STEP、科学技術コモンズ試験研究費の助成で行われた成果であり、複数の特許出願を行っています。

【技術内容】
 ホタルやウミホタルなど光を発する生物は800種類ほどいると言われており、近年、こうした発光生物が産業界では考えられないほど高いエネルギー変換効率を実現していることに、注目が集まっています。例えば、人間が作り出したものの中で最も変換効率がいいと言われる蒸気機関が30~40%であるのに対して、ホタルの場合、80~90%にも上ると言われていましたが、最近は41%程度と修正されています。蛍光灯が10%程度であることを考慮すると、非常に優れた光変換効率がある一方、発光可能な色(波長)が限定されている弱点を抱えています。

ホタル由来の発光基質である「ルシフェリン」は、発光酵素「ルシフェラーゼ」と化学反応することで黄色く光ります。この反応は、すでに世界中で生化学研究等に広く使われていますが、天然物を使用する限り、緑がかった黄色、ただ一色にしか光りません(560nmでの発光)。ホタル以外では、クラゲやウミホタルなどの蛍光・発光物質も用いられていますが、一般に 天然のまま単色で使われており、人工材料化されていません。 牧研究室では、「発光基質(ルシフェリン)を人工的に改変する」独自のノウハウにより、ホタル生物発光型で675nmの長波長発光を実現しました。


hakkousupekutoru.png【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
 650nm~800nmの長波長領域における発光は、「生体の窓」と呼ばれ、生体透過性が高くなる(=透過光が大きい)ため、675nmであれば、生体内の臓器なども、外部から効率よく観測することが可能です。現在、更に実用性を高めるため、より輝度が高い基質や水溶性の高い基質の開発を進めています。

hotaru.pngseitaitouka.png※675nmでは高い生体透過率を示しています。

hotarukido.jpg※天然ホタルの発光(左)とそれを高輝度化したもの(右)。
 高輝度化材料は天然系よりも二桁以上高輝度化可能。

【連携企業のイメージ】
本技術の活用に意欲がある企業を歓迎いたします。
例えば、以下の企業へご提案が可能です。
1)    長波長バイオプローブの活用を希望する医薬品メーカー/研究所
2)    ホタル人工発光系による長波長発光を利用した新製品開発を希望する企業。
3)    ホタル人工発光系によるマルチカラー発光を利用した新製品(測定機器等)開発を希望する企業。
4)  生物発光について技術課題がある企業。

【技術・ノウハウの活用シーン】
バイオプローブとして幅広い用途に活用可能です。例えば下記の手順で、ガン遺伝子の転移現象の解析などに活用可能です。
1)ホタルの発光酵素遺伝子を「導入するがん細胞」に組み込んだうえで、マウスなどの実験動物に導入し、人工的にがんを作らせる。
2)長波長バイオプローブを体外から導入すると、がん細胞内でのみ酵素と基質の化学反応がおき、長波長の発光(近赤外光)が発生する。
3)発光現象を、蛍光顕微鏡などで観察する。
※長波長の赤い光は人間の目には見えませんが、蛍光顕微鏡であれば観察可能です。また、生きたまま何日でも観察可能なので、がんがどのように発生し、成長し、転移していくのか、といったことを細胞レベルで追うことが可能になります。


hotarubaiomaker.pngガンの他、腫瘍や再生医療などの研究現場においても活用が期待できます。また、ホタル人工発光系を用いて、長波長発光によるバイオマーカーはもちろんのこと、基質をカスタマイズすることによって、RGBにわたる幅広い波長に対して(=マルチカラー)発光させることが可能です。マルチカラー発光を生かして、酵素センサー・バイオライト・発光ペン・インテリアなど様々な応用可能性があります。

baiosansyoku.jpg※ホタル人工発光系を利用したマルチカラー発光。

marutikara.png※マルチカラー発光のスペクトル(430nm~675nm帯にわたって発光ピークがあります。)

hotaruouyou.png※マルチカラー発光による応用用途

【技術・ノウハウの活用の流れ】
 試作品は既に出来ています。お問合せ後、技術面談にて詳しい技術内容をご説明させていただきます。また、本テーマに限らず、医薬品開発や、有機合成に関する様々な技術相談にも対応可能です。

【専門用語の解説】
(バイオプローブ)
 標識材料とも呼ばれています。生物機能を解析するために有用な低分子有機化合物を指します。バイオプローブにより、細胞内の遺伝子発現を可視化するなど、がん研究や再生医療の基礎研究、医薬品開発において必要な技術です。

(ホタルの発光原理)
 ホタルの発光は発光基質(ルシフェリン)に発光酵素(ルシフェラーゼ)が作用し生体内の酸素と反応することで発光します。生物発光のエネルギー変換効率の高さから、世界中で研究が進められていますが、多くはルシフェラーゼに関する研究です。牧先生は、発光基質自体を人工的に合成していることにノウハウと新規性があります。なお、ホタルの発光は2段階のプロセスを経て生じます。

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